アニメ『あの花』から10年ーー声優らが歌い継ぐ「secret base ~君がくれたもの~」はなぜ色あせないのか?

 青春群像アニメの金字塔『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビほか、以下『あの花』)の放送から10年が経った今年、公式ホームページには10年後の6人が描かれ、エモーショナルな気持ちになったファンも多かっただろう。本間芽衣子(茅野愛衣)、安城鳴子(戸松遥)、鶴見知利子(早見沙織)が歌ったエンディングテーマ「secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)」には、〈10年後の8月 また出会えるのを信じて〉という歌詞があり、今年が放送からちょうど10年後の8月ということで、同曲も話題になっている。

放送から10年後の8月ーー『あの花』が再び

 アニメ『あの花』は、脚本家・岡田麿里の代表作で、岡田の出身地である埼玉県秩父市が舞台。小学生時代の仲間・芽衣子(めんま)の死をきっかけに、いつしか距離を置くようになってしまっていた男女5人が高校生になって再会。芽衣子の幽霊を成仏させるために、ぶつかり合い、傷つけ合いながら奔走し成長していく物語だ。願いが叶えられた芽衣子が消えていくラストはアニメ史屈指の名シーンで、思い出しただけで涙がこぼれてくるファンも多いだろう。

 その人気から、2013年に『あの花』の1年後を描いた『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が公開。2015年には、浜辺美波がめんま役を演じたスペシャルドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビ系)が放送。ほかにも漫画や小説など、マルチメディアで展開された。物語の舞台となった秩父市でも、2011年9月25日に秩父ミューズパークで『ANOHANA FES.』が開催されたほか、2013年と2014年には『あの花夏祭 in ちちぶ』が行われ、茅野、戸松、早見による「secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)」が披露されるたびに感動を呼んだ。

secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)

 今年8月28日には、秩父宮記念市民会館 大ホール フォレスタにて、10周年記念イベント『ANOHANA 10YEARS AFTER Fes.』が開催される予定だ。監督の長井龍雪と脚本の岡田麿里を始め、宿海仁太(じんたん)役を務めた入野自由ら超平和バスターズのメンバーが集結するとのこと。さらには、岡田麿里の書き下ろしによる、10年後の超平和バスターズを描いたオリジナル朗読劇も披露される。「secret base 〜君がくれたもの〜」が披露されるかはわからないが、12月29日にリリースされるBlu-ray BOX『「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」10years after BOX』の特典CDには、同曲を新録した「secret base 〜君がくれたもの〜10th Anniversary ver.」が収録されるとのことで、同イベントでも10年後の8月という約束をきっと果たしてくれるのではないだろうか。

時を経て成長する「secret base 〜君がくれたもの〜」

 「secret base 〜君がくれたもの〜」は、2000年代初頭のバンドル(バンド+アイドル)ブームを牽引したガールズバンド・ZONEが、2001年にリリースした3rdシングル表題曲で、井上真央が出演したドラマ『キッズ・ウォー3』(TBS系)の主題歌としてヒット。2001年と2003年の『NHK紅白歌合戦』でも歌われ、国民的な夏の名バラードとして認知されている。ZONEは2005年に解散したが、同曲の発売から10年後の2011年8月に、東日本大震災復興支援のために期間限定で再結成された際は、大きな話題を集めた。また、同年にリリースされたアルバム『ZONEトリビュート〜君がくれたもの〜』には、ボーナストラックとして「secret base 〜君がくれたもの〜(10 years after Ver.)」が収録された。

ZONE「secret base ~君がくれたもの~」 MUSIC VIDEO

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