SPEEDSTAR RECORDS 小野朗氏が振り返る、30周年迎えたレーベルの歩み レミオロメン、星野源らヒットの背景も
星野源との出会い&ヒットを確信した瞬間
ーー2010年になると、星野源が現れるわけですけども。僕は2022年に出た星野源のイヤーブック『YELLOW MAGAZINE 2021-2022』で、2ndアルバム『エピソード』の頃を振り返るインタビューをしたんですね。その時にご本人に聞いたんですが、1stアルバムの契約はショット、1枚だけだったと。
小野:そうでしたね。はじめ、細野(晴臣)さんの<daisyworld discs>とスピードスターの「レーベル同士で協業しましょうよ」っていう、大変珍しい枠組みの中に、星野くんはいたんですよね。すごくおもしろいなとは思っていたけど、今のような巨大なアーティストになるとは、正直僕も思っていなかった。ただ、その担当者が「これをやらせてください」って言って来たのが初めてだったんですよ。すごく前のめりになっているのが、いいなと思って。「そんなに言ってくるか!」っていうところにベットしたかったというのはありました。
ーー「この人、とんでもないのでは?」ということにはどのあたりで気がつきましたか?
小野:いつだったっけなあ……。「桜の森」の時は、「確実にこれはいける」って思ってた気はする。それより前は、コアファンを作っていこうね、なんていう感じだったんですけど。当時、ライブのあとに本人と話したら「僕、もっといっぱいやりたいことがあるんですよ」と言っていて。ブラックミュージックが大好きな部分とか、まだあまり表に出てなかったんですが、僕も大好きなプリンスの話で盛り上がったのを憶えています。でも、そうこうしているうちに「SUN」ができちゃうんですよね。「SUN」をプロモーションしている時は、もう「星野源、絶対くるので」っていろんな人に言ってたから、すでに確信になっていたと思うんですけど。MVのアイデアとか、やることなすことおもしろいですし。
ーーそこからアリーナツアー、そして5大ドームツアーも開催するようなアーティストにまでなりましたよね。それは期待以上でしょうか?
小野:期待以上ですね。やっぱり『YELLOW DANCER』っていうアルバムが大きいと思う。あの時は「これは大ヒットするな、さらに大きいことになりそうだな」というのはありました。で、『逃げ恥』(TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』)とその主題歌の「恋」がダメ押しになった。
「音楽をしっかり楽しめる状況を作っておくことも大事」
ーースピードスターを運営していく上で、一貫している方針はありますか?
小野:ロックレーベルとして始まったけど、ジャンルにはこだわっていなくて。「こういうレーベルです」って言う時に、音楽ジャンルは言わないようにしている。それを言葉にした瞬間にすごくつまらなくなる、と思っているんですね。時代と共にかっこいい音楽って変わっていくと思うし。だから、その時その時のかっこいい音楽だったりとか、ミュージックラバーの人たちが「これ、いいな」と思ってくれるものを、常にやっていきたいなと。大変長くいてくれているアーティストも多いから、“アーティスト・オリエンテッド”というか、アーティストがやりたいことをきっちりサポートするのが、我々の仕事だという考え方が染みついているので。そうやって、アーティストにも良いレーベルだなって思ってもらいながら、常にかっこいい音楽を出していけたら一番いいなと思っていますね。
ーー30周年だからイベントをやろう、ということになったのは?
小野:周年ってちょっとどうかな、というのが僕はあって。25周年の時も「やらないの?」って社内でも言われたんですけど、レーベルなんだからそこまで振りかぶる必要ないんじゃないかな、っていうアンチな気持ちもあって。でも今回は……30年ひとつのレーベルが続き、シーナ&ロケッツのように30年間ずっと所属しているアーティストがいる、というのはそれなりに誇ってもいい話なのかな、とちょっと思って。
あと個人的には、声高にメッセージとして発したりはしてないんですけど、ここ数年でやっぱり、若干音楽が脅かされているというか。このまま音楽を自由に作ったり楽しんだりできることがちゃんと続いていくのかな、と考える時もあって。そういう、自由に音楽をやっている素晴らしさや、アーティストがやりたいことを実現させたいという気持ちで、僕らはやっているから。象徴的なイベントをやることによって、今音楽をしっかり楽しめている状況を作っておくことも大事じゃないかなと。単純に周年だからやるというよりは、この時期にやるっていうのに意味がある気がしたんですよね。ありがたいことに、今いっぱい所属しているアーティストがいるから、その中でもキャリアのある方々を中心にイベントにお声がけをして、スケジュールがNGだった人以外はOKの返事が来ているんですよ。そういう意味でもやっぱり、企画してよかったのかな。そういう思いが、うまくお客さんにも伝わってほしいですね。
■イベント情報
『SPEEDSTAR RECORDS 30th Anniversary「LIVE the SPEEDSTAR」supported byビクターロック祭り』
開催日:2023年3月18日(土)9:00開場 / 11:00開演(予定)
会場:幕張メッセ国際展示場9~11ホール
主催:ビクターエンタテインメント、株式会社テレビ朝日、ライブマスターズ株式会社、株式会社ディスクガレージ
企画制作:スピードスターレコーズ、ライブマスターズ株式会社
協賛:株式会社セブン-イレブン、ぴあ株式会社、株式会社レコチョク
<第1弾発表:出演アーティスト>
AA=
くるり
KREVA
THE BACK HORN
シーナ&ロケッツ
スガ シカオ
SPECIAL OTHERS
竹原ピストル
つじあやの
藤巻亮太
LOVE PSYCHEDELICO
and more (五十音順)
【チケット最速先行受付】
<一般チケット>
スタンディング:11,000円(税込)
メインステージ後方 座席エリア確約:13,000円(税込)
<一般チケット最速先行受付期間>
12月9日(金)18:00~12月18日(日)23:59
<一般チケット受付URL>
オフィシャル最速先行受付:https://w.pia.jp/t/victorrockmatsuri2023/
SPEEDSTAR CLUB会員先行受付:https://members.speedstarrecords.com/contents/595981
<VIPエリアパス付チケット受付URL>
https://store.murket.jp/artist/17015
『Eggs presents ワン!チャン!!~幕張メッセへの道~』へのエントリーURL:https://eggs.mu/music/project/onechan2023
「LIVE the SPEEDSTAR」特設サイト:https://livethespeedstar.com