日向坂46、『Happy Smile Tour』で迎えた変革のタイミング 四期生のライブ初参加、挑戦的な演出でも広がる可能性

日向坂46が迎えた変革のタイミング

 日向坂46の全国ツアー『Happy Smile Tour 2022』最終公演が11月13日、国立代々木競技場第一体育館にて開催された。2022年は初の東京ドーム公演や『W-KEYAKI FES. 2022』など大会場での公演が目立った日向坂46だが、ツアーとなると昨年秋の『全国おひさま化計画』以来実に1年ぶり。今年は9月10日の愛知を皮切りに、兵庫、神奈川、東京と全国4都市で8公演を行なった。公演数こそ決して多くはないものの、だからこそライブ1本に注ぎ込む熱量は強力なものがあり、また東京公演には加入間もない四期生がライブに初参加するなど、演出スタイル含め変化と新たな可能性を感じさせる貴重な機会となった。

 オープニングはツアータイトルの印象からは異なる、ややダークな演出で度肝を抜く。黒いガウンにフードを被ったメンバーが姿を現すと、キレのあるダンスとともに佐々木久美や齊藤京子、金村美玖が拳を突き上げ、スクリーンに映った青白い月のような球体にヒビを入れていく。そして、その球体が割れたところで、1曲目「My fans」に突入。ひとり、またひとりとフードを外していくメンバーは、いつも以上にクールな表情と不適な笑みでこの曲を表現していく。ここからどう“Happy Smile”な世界へと変化していくのだろう。

 そんなことを考えていると、エレクトロ調のダンストラックを経てベージュの衣装へと早着替えしたメンバーが、ライブ終盤の盛り上げ曲として定着している「NO WAR in the future 2020」「キツネ」を早くも投入。特に後者では間奏にメンバーそれぞれのソロダンスもフィーチャーされ、ひたすらカッコよさを追求したステージが繰り広げられた。

 かと思えば、MCでは富田鈴花がステージ上に大きめな虫がいることを報告し、それを佐々木久美が素手で“退場”させるというハプニングも。「きっと代々木公園から、ライブが観たくて来たおひさま(=日向坂46ファンの総称)ですかね」と言って、会場を和ませた。さらにその後、このツアーを楽しくするための呪文「ハッピーチャチャチャ、スマイルピロピロピロ〜」をメンバーが唱え、声を出せない観客は体でリアクションするなどして一体感を高めていった。

日向坂46ライブ評

 この頃から少しずつ“Happy Smile”な世界へとシフトし始めたライブは、一期生による「耳に落ちる涙」で会場をしっとりとした空気で包み込む。曲中、加藤史帆の頬を涙か汗のような雫が滴るなど、楽曲の持つムードと合致したことでより濃厚な世界観が展開されていく。そこから二期生+三期生・上村ひなのによる「君のため何ができるだろう」へと引き継がれると、エモーショナルな空気はさらに増幅。さらに、極め付けの1曲「僕なんか」で会場は最初のクライマックスを迎える。クールな第1ブロック、エモーショナルな第2ブロックと、MC以外ではハッピーさが強調されない見せ方。もちろんこれまでも披露してきた要素ではあるが、序盤にハッピーオーラを抑えた構成はグループのこの先の進化を考える上で新たな手札になるのだろうか。

 「耳に落ちる涙」からのアリーナ後方サブステージでのパフォーマンスをひと通り終えると、再びメインステージへ戻り「飛行機雲ができる理由」へ。ステージ後方一面に広がるLEDスクリーンに青空と雲が映し出され、その曲調とともに日向坂46本来のポジティブさも復調していく。その空気は続く「君しか勝たん」でさらに加速し、“Happy Smile”モードへと完全移行。幸福感いっぱいの歌とパフォーマンスに、観る側にも自然と笑みが溢れる。

日向坂46ライブ評
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 そのハッピーモードの極め付けとして、続くブロックでは四期生がライブ初お披露目となった。メンバーがひとりずつ登場しソロダンスを見せていくと、12人全員が揃ったところで四期生初オリジナル曲「ブルーベリー&ラズベリー」を歌唱。堂々とした歌とダンス、非常に息が合った全体のパフォーマンスを前に、彼女たちが加入数カ月だという事実を忘れてしまいがちだが、純白の衣装をまとった姿から放たれる初々しいオーラは間違いなく新人そのもの。この個性と存在感を持つ彼女たちが先輩メンバーに合流したあと、日向坂46はどう変化していくのかを考えただけでもワクワクしてくる。

 MCでは四期生がひとりずつ自己紹介。後輩たちを前に先輩メンバーの表情からは自然と笑みがこぼれ、優しい眼差しで四期生の一挙手一投足を見守る。これを受けて、キャプテンの佐々木久美が「12人の四期生が加わりました。総勢33人になり、横一列がこんなに長くなって私たちもうれしいです。33人になっても変わらずに日向坂46らしく、これからも頑張っていきたいと思います」がと改めて挨拶する。続いて本ツアーを怪我で休演し、この東京公演から復帰した潮紗理菜が「みーぱん(佐々木美玲)が昨日の夜、『何か不安なことがあったら明日みんなで確認しよう。みんなきっと迷惑じゃないから、全然言っていいんだよ』と連絡くれて。今日も不安なしで楽しんで、全力な気持ちでこのステージに立てています」とメンバーとの絆の強さを明かす一幕もあった。

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