中森明菜という唯一無二のボーカリストを堪能できるライブ7本一挙放送 珠玉の映像で味わう鮮烈なパフォーマンス

WOWOWで堪能する中森明菜のライブ

『中森明菜 AKINA NAKAMORI LIVE TOUR 2006 The Last Destination』

 2000年代に入ってからの映像では、『中森明菜 AKINA NAKAMORI LIVE TOUR 2006 The Last Destination』が見逃せない。2006年に全国7都市で行われたツアーのうち、最終日の8月8日に収録されたもので、楽屋入りする彼女をカメラが追いかけるところから始まるのだが、リハーサルや楽屋の様子も映し出され、そこからステージの映像へと切り替わる。ド派手なオープニングから、エンターテイナー然とした彼女のパフォーマンスが楽しめるのが魅力だ。ラテンビートに乗せた「花よ踊れ」から「The Heat〜musica fiesta〜」へと続くオープニングで、一気に情熱的な歌世界に引き込まれる。

 このライブでは、ステージ上のスクリーンに映し出される映像を軸に、カラフルでエキゾチックな衣装姿が印象的で、とにかく視覚的に美しく音楽を演出する。とりわけ真っ赤な照明の中でしっとりと歌う「赤い花」は圧倒的だ。黒いラメ入りのワンピースに着替えてからの「LOVE GATE」以降も、スツールに腰掛けながらウィスパーボイスを聴かせる妖艶な「眠れる森の蝶」、スーツ姿になってホーンセクションを交えたファンキーなビートに身をゆだねる「Heartbreak」など、比較的新しめの楽曲群におけるボーカリストとしての実力はさすが。ベテランの上杉洋史(Key)や松本淳(Dr)、日高恵一(Gt)に交え、ジャズグループ・quasimodeの須長和広(Ba)といった新旧のミュージシャンによる躍動感に満ちたアンサンブルも素晴らしく、ソウルフルなコーラスでサポートするエボニー・フェイとオリビア・バレールの存在も重要だ。

 そして後半の「愛撫」からは怒濤のヒット曲、代表曲を連発。ゴージャスでファンキーなサウンドに乗せた「TATTOO」、ジャジーにアレンジされた「飾りじゃないのよ涙は」、ストレートなロックンロールで攻めまくる「1/2の神話」ととにかくテンションが高い。華麗な身のこなしに見とれる「TANGO NOIR」、スカビートにアレンジされた驚きの「少女A」、そしておなじみ「DESIRE -情熱-」で本編はフィニッシュ。アンコールでは再び「花よ踊れ」でにぎやかに締めくくるのだ。エンターテイナーっぷりを楽しみたいなら、この映像をチョイスするといいだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる