吉田羊、初音楽ライブに向けて語る舞台との共通点 中森明菜の歌真似をした幼少期や椎名林檎のライブでの思い出も
デビュー25周年を迎えた俳優の吉田羊が、自身初となる音楽コンサート『吉田羊 Night Spectacles The Parallel～ウタウヒツジ～25th Anniversary Special』を、9月22日、23日にBillboard Live TOKYOで開催する。同コンサートは、WOWOWが贈る俳優によるコンサート「Night Spectacles」のシリーズ第1弾でもあり、開催を前に、ラジオ形式のロングインタビュー番組『吉田羊「メグルヒツジ」ウタウ前に話すこと。』の放送・配信も決定した。
「25周年という節目を、特別な形でファンの方と共有したいと思った」「今まさに選曲や衣装、構成など、一つひとつ決めている最中」という吉田にインタビュー。吉田自身がコンサートを前に楽しみにしていることに始まり、吉田と音楽の遍歴や、印象に残っているという、初めて椎名林檎のライブに行ったときの思い出、また小劇場時代に行っていたライブのエピソードなどを聞いた。（望月ふみ）
ライブと舞台の共通点は“目の前にお客さんがいること”
――デビュー25周年にあわせた記念コンサートの開催です。
吉田羊（以下、吉田）：たくさんの方に助けていただいた、奇跡の25年でした。苦しいことや投げ出したくなることもたくさんありましたけれど、その時その時で手を差し伸べてくださる方がいて、言葉をくださる方がいて、自分を見失わないようにしなさいと叱咤してくださる方がいました。私自身は本当に平凡な人間だと思っているので、「この役を吉田さんに」と言っていただけたり、こうしてコンサートのお仕事をいただけるのは奇跡ですし、25周年という節目を、これまでにない特別な形でファンの方と共有したいと思いました。
――Billboard Live TOKYOでのライブになります。ドレスコードが、「ご自身が思うとびきりおしゃれな格好で」となっていますね。
吉田：Billboard Live TOKYOは東京のど真ん中の六本木にありまして、大きな窓から東京の街並みが一望できる、大人で色っぽくて、ちょっぴりゴージャスな雰囲気の会場です。なので、いつもなら躊躇するかもしれない、少し振り切ったファッションが合うのではないかなと。一夜限りの特別な空間ですから、どうぞ勇気を出しておしゃれをして来てください。私が着物好きなので、私を喜ばせようと着物でいらしていただいてもいいですし（笑）、私のファンの方は、本当に幅広い年齢層の皆様がいらっしゃるので、統一感はなくていいと思っています。ご自身が「これが私のとびきりのおしゃれだわ！」と思うお洋服を着て来てください。私は皆さんがしてきてくださったおしゃれを、ステージから眺めることを楽しみにしています。
――これまでにも、映画『アナと雪の女王2』の日本語吹き替え版や、CM、JUJUさんとの楽曲「かわいそうだよね (with HITSUJI)」などで歌声を披露されてきています。JUJUさんとのコラボでは、武道館ライブにゲスト出演もされました。
吉田：はい。JUJUさんとのお仕事で言うと、ご一緒したときに歌唱力も表現力も素晴らしいものを感じました。加えて彼女の10周年記念の武道館ライブでは、歌はもとよりユーモアのあるトークスキルもすごくて。会場を巻き込んでいく力があって、なおかつ場の空気も読める。本当にオールマイティ、万能な方だなと。ライブをするにはこんなに何でもできなきゃいけないのかと思うと、絶望的な気持ちになるんですけれど（笑）。でも色々と学ばせていただいたので、あの時に「こういうのいいな」と思ったことも、今回のライブに活かせたらと思っています。
――では曲間の吉田さんとお客さんとのやりとりも、楽しみのひとつになりそうですね。
吉田：幸いなことに私は舞台出身ですから、目の前にお客さんがいる方が自分の気持ちが乗るんです。実際お客さんの空気に助けられることは舞台でもたくさんありますし、ライブでも然りだろうと想像しています。ましてや今回は私の歌が聴きたくて来ていただく人たちばかりですから、何をやっても許してくれるんじゃないかという安心感があります（笑）。楽しんで歌っている吉田羊を楽しんでいただければと思います。
松田聖子や中森明菜の歌真似をしていた幼少期
――吉田さんは子どもの頃から、歌うことがずっと身近にあったとか。
吉田：そうなんです。小さなころから讃美歌になじんできました。人生を通しても讃美歌の旋律は、私の軸としてあります。物心ついて以降も、音楽は私のその時々の心にいつも寄り添ってくれています。私はジャパニーズポップスの王道で育っていて、テレビっ子で音楽番組も大好きだったので、『ザ・ベストテン』や『夜のヒットスタジオ』などを毎週かかさず見ては、（松田）聖子ちゃんや（中森）明菜ちゃんの歌真似をしていました。中学生の時には多分に漏れずアイドルにはまりました。私の時代は光GENJIですね。高校生ではドリカム（DREAMS COME TRUE）にはまって、その後は矢井田瞳さんとか椎名林檎さんといったロックにはまっていきました。
――まさに時代とセットになっていますね。
吉田：その時に聴きたい音楽で、自分の心模様を知るというか、「あ、自分は今こういう気持ちなんだな」といった答え合わせにもなっていますし、その時々に交流してきた方々からの影響も受けたりして、THE BOOMとかTHE YELLOW MONKEY、ユニコーンなども一通り網羅していました。このジャンルという限定をせず、その時に聴きたい音楽を何でも。だから雑食です。今回のライブでも、私が歌いたい曲、おそらくファンの方が聴きたいであろう曲、色々なジャンルの曲を選曲しています。
――今回、初コンサートとなってはいますが、小劇場時代にライブ活動をしていたことがあると聞きました。
吉田：はい。「ヒツジバンド」です。ウッドベース、カホン、ピアノと、私を入れて4人編成で下北沢や御茶ノ水の小さなライブハウスでやっていました。6～7曲を、トークをはさみながら1時間ぐらい。オリジナル曲が2曲しかなかったので、ほかはカバーで。俳優がやる意味を持たせたいなと思って、中島みゆきさんの『夜会』みたいに、芝居仕立てのライブもやりました。主人公の女性が、仕事に疲れて家に帰るところから物語が始まって、そこに普段振り回されてばかりの恋人から電話がかかってくる。疲れた体に鞭を打って出かけようとするんですけど、このままじゃいけないと意を決して別れを告げる、とか。普通に歌うよりもキャラクターを演じながら歌うというのが性に合っていて、楽しかったなというのは覚えています。
――では、吉田さんご自身がこれまでに行かれたライブで、印象に残っているものを教えてください。
吉田：椎名林檎さんのライブを初めて見たときです。アンコールの曲を歌ったあと、林檎さんが一切もったいぶらずに、潔くササッと帰ったんです。それが物凄く印象的で。だって次のライブはいつかわからない、今日いらっしゃっているファンの方とも、いつも出会えるわけではないわけです。そして何よりファンの方は、林檎さんがそこに1分でも長くとどまることを望んでいる。でも本当にあっという間にはけたんです。それが「カッコイイ！」と思って、「しびれるー！」ってなったんです（笑）。その潔さが椎名林檎さんのかっこよさだなと思った記憶があります。私はそんなことはできないですけど（笑）。
