back number「アイラブユー」と朝ドラ『舞いあがれ!』の深い繋がり 人生やものづくりの根底にある普遍的な愛

back number「アイラブユー」レビュー

 NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の主題歌として書き下ろしたback numberの新曲「アイラブユー」(作詞・作曲/清水依与吏)が大きな注目を集めている。

back number - アイラブユー (NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』主題歌)

 素朴な光を感じさせるピアノ、しっかりとエッジを効かせたバンドサウンドからはじまる「アイラブユー」。〈公園の落ち葉が舞って/飛び方を教えてくれている〉というーーまるで独り言のようなーーフレーズが聴こえてきた瞬間、この曲がすぐそばにいてくれるような親近感が伝わってくる。何気ない日常の風景、そのなかで浮かんでくる“君”への思いをシンプルに綴りながら、サビに入った瞬間に圧倒的なカタルシスへと導くソングライティングは、まさに清水依与吏の真骨頂。言葉とメロディを丁寧に積み重ねた跡が感じられるのも、この楽曲の魅力だろう。 

 ライブ的な生々しさを活かした3人のサウンド、そして、小林武史によるピアノやストリングスのバランスも絶妙。決してオーバープロデュースにならず、あくまでもロックバンドとしての佇まいを軸にした音像からは、“back nunber×小林武史”の相性の良さ、そして、何作も積み重ねてきたことによる信頼関係が反映されている。

 「アイラブユー」の歌詞のテーマを言葉にすると、“何気ない生活のなかにある、深い思い”ということになるだろうか。特に印象に残ったのは、〈駅前のパン屋と/踏切の閉まる音/ああ 君に会いたくなる〉というラインだ。ドラマのような出来事や運命の出会いなんて、そんなにあるものじゃない。でも、普段から目にしているもの、いつもの風景のなかにも、いろんな人の思いや愛が込められていて、それに触れることで我々は、ふと大切な人の存在を思い出すーーそう、「アイラブユー」というシンプルな題名が冠されたこの曲には、普遍的な愛がナチュラルに表現されているのだと思う。

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