back number「水平線」から浮かび上がるバンドとしての核心 コロナ禍に聴かれ続ける普遍的エールソングの凄み

back number「水平線」レビュー

 back numberが8月13日、「水平線」を配信リリースした。いくつも存在する“正しさ”に翻弄されそうになりながらも、自分の心に向かいながら、〈私はここだと叫んでいる〉と歌うこの曲は、まったく先が見えない状況を生きる我々の心情に寄り添い、まるで福音のように響いている。

back number – 水平線

 「水平線」が制作されたきっかけは、2020年に中止となったインターハイ(全国高等学校総合体育大会)の実行に関わる高校生20人からの手紙だった。

 2020年のインターハイはback numberの地元・群馬県で開催され、開会式では彼らの楽曲「SISTER」が高校生によって演奏される予定だった。コロナ禍によりインターハイは中止を余儀なくされたが、「開催に向けて頑張ってきたみんなを元気づけたいので、協力してもらえないだろうか」というのが、高校生たちからの手紙の内容だ。その手紙を受け取ったback numberのメンバーは、清水依与吏(Vo&Gt)が高校時代、陸上競技でインターハイを目指していたこともあり、楽曲を制作することを快諾。自分たちに出来ることは何かと考え、楽曲制作にとりかかり、未来に向けたエールを込めて作られたのが、「水平線」だったというわけだ。

 楽曲はリリース(発売)という形をとらずに、開会式が予定されていた2020年8月18日にリリックビデオを公開。これは“高校生を中心に無料で誰もがいつでも聴きにこれるところに置いておきたい”そして“歌詞が届けばいい”という二つの理由によるものだ。2020年のインターハイの“応援ソング”となった「水平線」は、公開から1年で9千万回再生を突破。YouTubeのコメント欄には、「back numberは幸せな人だけじゃなくてその裏側にいる傷ついてる人にも寄り添って癒すような曲を届けてくれる」「辛いことがあったとき、上手くいかなくて凹んでるとき、 ここに来て5分12秒間この曲を聴きながら、コメント欄を見ながら 1人で泣きます」「勉強が辛い時、恋愛で悩んでる時、部活がきつい時、どんな時でもこの歌を聞くと励まされる」といった言葉が並んでいる。

 28,000件を超えるコメントを見ると、部活や受験で頑張っている高校生はもちろん、仕事と奮闘している人、病気と闘っている人、大切な人を失った悲しみを抱えながら日々を送っている人などが、それぞれの人生や境遇を楽曲に重ねていることがわかる。公開から1年。「水平線」はback numberを象徴する楽曲として広く浸透している。そして今回の配信リリースにより、この楽曲に刻まれたメッセージは、さらに多くのリスナーを励まし、力づけることになるはずだ。

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