Kep1er、『THE FIRST TAKE』で発揮した実力とチームワーク

Kep1er『THE FIRST TAKE』での実力とチームワーク

 9月7日、日中韓の9人組グローバルガールズグループ Kep1erが、日本1stシングル『<FLY-UP>』で日本デビューを飾り、9月19日付のオリコン週間シングルランキングで2位にランクインする好調な滑り出しを見せた。また、10日と11日には千葉・幕張メッセイベントホールで日本デビュー記念として『Kep1er Japan Debut Showcase Live <FLY-UP>』を開催し、全3公演で計2万人を動員。チケットは一般発売後にわずか3分でソールドアウトしている。さらに日本デビュー曲「Wing Wing」を『Venue101』(NHK総合)、『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)、『Love music』(フジテレビ系)といった音楽番組で次々と披露するなど、K-POPの新人グループとしては、久々に大規模な日本デビュー展開を見せた。

 Kep1erは、韓国、中国、日本の3地域の出演者が参加した韓国のオーディション番組『Girls Planet 999:少女祭典』(2021年/Mnet、ABEMA)から誕生したガールズグループで、視聴者投票で選ばれた、ユジン、シャオティン、マシロ、チェヒョン、ダヨン、ヒカル、ヒュニンバヒエ、ヨンウン、イェソの9名で結成されている。韓国では今年1月3日にミニアルバム『FIRST IMPACT』でデビューすると、アルバムタイトル曲「WA DA DA」のキャッチーな振り付けを真似る「WA DA DA Challenge」がTikTokで大流行し、MVは公開からわずか約3カ月で1億回再生を突破。2月には日本デビュー発表前にもかかわらず、『CDTVライブ!ライブ!』で日本の音楽番組に初出演していることからも注目度の高さがうかがえる。

 Kep1erブレイクの要因のひとつになっているのが、オーディション番組の人気だ。コロナ禍の“おうち時間”で若い世代が夢中になったのが、NiziUを輩出した『Nizi Project』、INIを輩出した『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』、そしてBE:FIRSTを輩出した『THE FIRST』など。『Girls Planet 999:少女祭典』は地上波放送こそなかったが、ABEMAで日韓中同時・日本語字幕付きで無料放送され、オーディション番組ブームの追い風の中で日本人練習生たちの奮闘も話題に。さらに韓国デビュー曲「WA DA DA」のバズも人気を後押しした。これは、Kep1erデビュー直後の日本のYouTubeチャートTOP100で「WA DA DA」が視聴回数423.3万回でいきなり1位で初登場したことにも表れているだろう。

Kep1er 케플러 | ‘WA DA DA’ M/V

 そのKep1erの日本デビューが7月21日に発表され、大ヒット曲「WA DA DA」の日本語バージョンではなく、日本オリジナル曲の「Wing Wing」でデビューすることに驚かされたが、「WA DA DA」の日本語バージョンをYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』で初披露したことにはさらに驚かされた。ダンスでブレイクしたこの曲を、あえてダンスを封印して「聴かせる」ことに特化させたのだから。

 オリジナルの「WA DA DA」はダンスミュージックだが、『THE FIRST TAKE』の「WA DA DA  (Japanese ver.)」はロックアレンジとなっており、よりボーカルのグルーヴ感が活きるように。チェヒョン、ヨンウンのボーカル力は言わずもがなだが、イェソのリズム感のよさが認識できるなど新たな発見も多かった。また、登場シーンで足が震え、ヘッドホンを左右逆にかけてしまうほど緊張していたヨンウンが率先して「ファイトー!」と声をかけたり、歌いながらメンバーたちがお互いにアイコンタクトを取り合っていたり、グループとしての良いチームワークが垣間見られるのも『THE FIRST TAKE』の空気感ならではかもしれない。

Kep1er - WA DA DA (Japanese ver.) / THE FIRST TAKE

 デビュー日には「Wing Wing」で『THE FIRST TAKE』に再登場。「WA DA DA」の時より少しリラックスした表情で、「楽しい!」と口にしているのも印象的。バンドアレンジになったロックな「Wing Wing」は、より一層それぞれの個性が映える楽曲に。ヨンウンは出だしから飛ばしているし、チェヒョンは意外にもロックが似合う。ダヨンの〈心臓が Ra pa pa pam〉、マシロの〈Wing buzzin’〉、ヒュニンバヒエの〈もっとドキドキさせて〉に心つかまれ、ムードを変えるユジンとシャオティンのハーモニーからイェソにバトンを渡し、チェヒョンが最後のサビに向けてテンションを上げていく様は圧巻。そしてラップをはじめ、センターに立つヒカルの良さが「Wing Wing」には集約されているような気がした。そんな風に一人ひとりの細かい歌のニュアンスや表情がじっくり見られるのも『THE FIRST TAKE』ならではの楽しみだ。この2曲の“THE FIRST TAKEバージョン”が9月28日より配信リリースされているので、オリジナルバージョンと聴き比べてみるのも面白いだろう。

Kep1er - Wing Wing / THE FIRST TAKE

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる