芸人 寺田寛明がライブアイドルを推す理由 アイドルとお笑い、異なるカルチャーの交差点とは

芸人 寺田寛明がライブアイドルを推す理由

 2021年、2022年のR-1グランプリでは決勝進出、大喜利プレイヤーとしても活躍中のピン芸人・寺田寛明。彼は、アイドルのライブに多く足を運ぶガチのアイドルオタクとしての顔を持つ。今回リアルサウンドでは、そんな寺田にライブアイドルの魅力について聞くインタビューを企画。ジャンルは違えど同じステージに立つ人間として、寺田はどのような目線でアイドルたちの活動を見ているのか。お笑いとアイドル、遠いようで近い2つのカルチャーを横断した未来についても語ってもらった。(編集部)

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好き勝手やってほしいし、好き勝手したい

ーー寺田さんのSNSなどからは多くのアイドルのライブに行っている様子が見えます。まずはアイドルを好きになったきっかけから教えてください。

寺田寛明(以下、寺田):元々バカリズムさんのファンで、僕が高校生のときに、バカリズムさんがフジテレビの『アイドリング!!!』のMCに抜擢されたんです。最初はバカリズムさん目当てで、そこから9年間フジテレビオンデマンドで全部の回を購入して見ていました。その間にアイドルも自然と好きになったという。

ーー番組からは同名グループ・アイドリング!!!が誕生。彼女たちのどこが好きだったのでしょうか。

寺田:僕、未だに『アイドリング!!!』が全部のバラエティ番組の中で一番面白かったんじゃないかと思ってるぐらいなんです。バカリズムさんがもうめちゃくちゃで(笑)。例えばアイドルの子にちょっとギャグとかを振って、普通のアイドル番組ならそれなりのものが出ればOKじゃないですか。でもバカリズムさんは本当にいいものが出るまで続けていました。『アイドリング!!!』って“撮って出し”、編集しないでそのまま出すスタイルなんで、メンバーが泣いてるところとかも放送されるんです。それが刺激的でしたね。

ーーアイドリング!!!は2015年に解散して番組も終了しましたが、今は誰を応援しているのでしょうか。

寺田:これが難しいですよね。今はPANDAMICっていうグループを一番見てるんですけど、前に別のメディアで取材してもらった時と変わっていて。1カ月単位とかで今の一推しが変わってます(笑)。

ーー特定のグループやメンバーがすごく好きというよりも、アイドルシーン全体が好きというか。

寺田:そうなっていますね。前はアイドルネッサンスを推してたんですけど、解散発表の時のダメージが大きくて。1人や1組だけを応援しているとそれだけリスクがあるなと思って、その辺りからは色々なグループを応援するようになりました。

ーー確かに、そういう部分はあるかもしれません。いわゆるメジャーアイドルの方が活動の安定感はあると思うのですが、その中であえてライブアイドルを応援することには理由があるのでしょうか。

寺田:本当に単純な理由なんですけど、近くで見たいからです。メジャーアイドルってライブ会場のモニターで見ても演出が凝っていて、それが良さなのかもしれないですけど、ライブに行ったときに、モニターで見てるのは悔しくて。だから狭い箱で見ている方が楽しいなという気持ちもあります。あとメジャーアイドルの楽曲が好みじゃないことも多いかもしれないです。メジャーに行くと急に曲の方向性が変わるグループもいますしね。

ーーそういう点で言うとお笑い芸人も、「ライブで見た時は好きだったけどテレビに出るようになって変わった」と言われることもあると思います。今寺田さんがライブシーンで活躍されていることと、ライブアイドルを応援していることには何か関係があると思いますか。

寺田:自分はテレビとかでやっていけるほどメジャーに合わせられない気がしていて。アイドルも多分そういう方向性が好きなんだと思うんですよね。すごくみんなに好かれるタイプよりかは、「この子、実はめっちゃ良いんじゃないか」という部分を自分で見つけたいところがあって、それはもしかしたら同じかもしれないです。

ーー分かってくれる人にだけ分かってもらいたいというか。

寺田:好き勝手やってほしいし、好き勝手したいんですよね。

“アイドル”であればどんな曲をやっても良いところが面白い

ーーライブアイドルを応援する楽しさはどこにあると考えていますか。

寺田:色々あると思います。ライブ中に踊るのが楽しい人もいるし、アイドルと話すことが楽しい人もいるし……僕は完全に曲が好きでライブに行っているっていうのがまずあります。どんなにビジュアルがタイプのグループでも曲が好きじゃなかったら、ライブに足を運ばなくなっちゃうんです。メンバーとチェキを撮ったりもするんですけど、ライブにはなかなか言語化できない楽しさがあります。

ーー最近だとlyrical schoolを応援していたようでしたが。

寺田:アイドルラップのヒップホップは好きなので、その流れからlyrical schoolをはじめとしたヒップホップアイドルグループはよく見ていました。王道のアイドル楽曲って、その中にも良し悪しはあると思うんですけど、使っている音が似てるなと思うことがあって。lyrical schoolは他のアイドルの曲では聴かないような音が鳴っていて面白いと思います。“アイドル”って音楽のジャンルではないのに、どんな曲をやっていても“アイドル”という一括りにされるじゃないですか。僕はその中で“アイドル”っていうのをフリにして、時に何でもありみたいな、面白い曲を見られるのが楽しいなって。

ーーなるほど。本当に楽曲をよく聴かれているんですね。ライブの時もじっくり曲を聴くタイプなのでしょうか。

寺田:ライブを見るときは軽く振りコピする感じですね。コールとか、一緒になって踊るとかまではなくて、基本的に大人しくしてるんですけど、やっぱり前の方で見たい気持ちはあるので前でじっとしていると、“こいつ何なんだ”みたいな空気になるじゃないですか。だから周りに対するアピールもあって振りコピをしています(笑)。

ーーコロナ禍のアイドルのライブではコールができなくて物足りないという声も聞きます。

寺田:僕も最初は物足りないなと思いました。今までみんなで大騒ぎしていた現場も静かにしないといけないので、何か音が足りない気がするんですよね。コールがどのぐらいあるかが盛り上がっているかどうかの一つの指標になるじゃないですか。みんなマスクをしていて、全然顔や表情が見えない上にコールもないから、僕らよりも多分、アイドル本人の方がスベっていると感じちゃったり、物足りなく思うことがあるんだろうなと。でも普段はコールがある部分がじっくり聴けるようになって、そのパートとかメンバーの新たな魅力に気づけることもあるかもしれませんね。

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