『温泉むすめ』プロデューサー 橋本竜、コロナ禍で直面したプロジェクトの危機 温泉地と共に歩む再生の道のり

『温泉むすめ』Pインタビュー

イベント開催は温泉地やファンの方の笑顔のために

飯坂温泉ほりえや旅館
飯坂温泉ほりえや旅館

――リスクを背負ってでもイベントを打つと。

橋本:そうですね。ビジネス度外視ってほどではありませんが、実際に地方でのイベントは興行としては成立していないんです。先月行なった雲仙温泉のイベントも赤字でした。もちろんイベントをしない選択肢も考えはしましたが、イベントを打つことで温泉地やファンの方に喜んでいただけるなら、今まで通りライブやイベントを定期的に開催して、現地にもしっかり足を運んでもらおうと考えています。

――それこそ、『温泉むすめ』は音楽に投資をしてきましたからね。

橋本:そうですね。過去には『SUMMER SONIC 2018』に出演したこともありますし、楽曲の評価も非常に高いです。労力とお金をかけてでも、クオリティの高い楽曲をこれからも提供したいと思っています。ちなみに、今回の新曲はすべてソロ曲になります。地域に根付くような曲になってほしいですし、『温泉むすめ』は、地域の守り神のような神様なのですが、その神様が歌う曲ですので、地域を代表する語り継がれるような曲になってほしいという願いもあります。

『SUMMER SONIC 2018』出演時
飯坂真尋「アッツイ!熱いぜ!!」

――改めて、新曲に込めた思いを聞かせください。

橋本:まずは、飯坂真尋の「アッツイ!熱いぜ!!」について。今回イベントの開催地になっている福島県の飯坂温泉は、300年続く「飯坂けんか祭り」があるので、それを受けて熱さを表現する楽曲にしようと思いました。熱いと言ったらアニソンのオープニングだろうということで、ストレートに「魂が激るような熱い曲を作りたいです」とTokyo 7th シスターズの音楽制作もされている岡ナオキさんにすべての曲を発注させていただきました。飯坂温泉は『温泉むすめ』の活用が日本一なので、地域に対するシビックプライドも歌詞に反映させています。

――サウンドも歌詞も「熱い」の一言に尽きますね。

橋本:飯坂温泉って源泉の温度が45度から65度ぐらいあるんですよ。だから源泉の温度も熱いし、ファンの熱量も温泉地の熱量も高いので、もうシンプルに「アッツイ!熱いぜ!!」と。「これを熱くないっていう人はいない」と言えるほど、かなり分かりやすい曲になっています。

塩原八弥「セカイはスキで動いてる!」

――塩原八弥の「セカイはスキで動いてる!」はどうでしょう?

橋本:塩原温泉郷は11もの温泉が集まっている土地なのと、塩原八弥はみんなを楽しませるファンサービスに長けているアイドルなので、これはド直球のアイドルソングで行こうと現地の方と相談しながらテーマを決めました。コール&レスポンスも含めて「みんなが乗れて、楽しくハッピーになれるような曲」になっていて、私の大好きな『マクロスF』の「星間飛行」っぽいキラキラした表現とかも入ってます。とにかく聴いた方が笑顔になれる曲ですね。

三朝歌蓮「きっとこころは」

――最後は三朝歌蓮の「きっとこころは」です。

橋本:今までの『温泉むすめ』にないような、落ち着いた曲になっています。三朝温泉といえば、高濃度のラドンを含む世界屈指の放射能泉で、湯治で有名な温泉地なんです。三朝歌蓮は癒しキャラでもあるので、癒し癒されるようなのんびりとした曲にしたくてバラード調にしました。この曲を聴いてもらいながら、のんびりゆっくり温泉に浸ってほしいという思いで作りました。

――9月11日開催の飯坂温泉イベントでは新曲だけでなく、色々なお披露目もされるそうですね。

橋本:はい、まずは先ほどの新曲3曲の披露に加えて、キャラクターの基本イラストを忠実に再現した新衣装も発表します。今回もオサレカンパニーさん制作の素晴らしい出来栄えです。それらを出演者の方にライブパートのどこかのタイミングで着替えていただきたいと思っています。他にも新規イラストのパネルがあったり、現地のお土産をセットにした限定の福袋を販売したりと盛り沢山の内容を予定していますので、ぜひ飯坂温泉にお越しください。会場が広いこともあり、チケットも引き続き販売中です。

――『温泉むすめ』の集大成のようなイベントですね。ちなみに今後の『温泉むすめ』としての展開はどのようにお考えですか?

橋本:しばらくはコロナの状況が読めないこともあり、様子を見ながらの展開になりますが、来年以降に大きな動きができるように準備をしています。いくつかプランはありますが、以前に構想のあった全国スタンプラリー。そして、位置情報と連動したゲーム要素やコレクション要素のあるスマホ向けの展開など、現在のところ全国で90カ所以上の温泉地に『温泉むすめ』を活用いただいておりますので、このスケール感や繋がりを活用して、現地に行くことが楽しくなるような仕掛けを幅広く検討していきたいです。

――最後に橋本さんから、読者に伝えたいことはありますか?

橋本:この場を借りて読者の方にお伝えしたいのは、我々は地域ファーストでやっているコンテンツではありますが、それを支えてくださってるのはやっぱりファンの皆さんのお陰だと思っています。実際に各温泉地でも『温泉むすめ』ファンの方は丁寧でとてもいいお客さんと言われています。これからもファンや地域の方のご意見を尊重し、自社の利益だけでなく、地域創生と地域活性化に繋がる「三方良し」の運営を続けていきたいと思います。

 

■公式サイト
『温泉むすめ』公式サイト
https://onsen-musume.jp/

『温泉むすめ』プロジェクト 公式Twitter
https://twitter.com/onsen_musume_jp

飯坂温泉イベント
https://onsen-musume.jp/event/138640

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