TWICEメンバー分析第1回:ナヨン、複雑なことも親しみやすく表現するポップスター 聴き手一人ひとりに寄り添う歌声

 彼女にとって歌とは“歌い手と受け手の中間にあるもの”で、評価を受け手に一任するでもなく、歌い手が一方的に語りかけるでもなく、きっかりその中間に位置してこそ歌と「仲良く」なれると考えているのではないだろうか。このような発想を持つ表現者というのは、あまり珍しくはない。しかしナヨンが特異なポップスターであるゆえんは、例えそれがどんなテーマやコンセプトの楽曲であっても、彼女とオーディエンスからしてちょうど等しい距離にあるものとして歌い、受け手にもそう感じさせることができるというところにある。

 ディスプレイの前にいる無数の視聴者、東京ドームの5万人の観衆、その一人ひとりと対話するように、彼女は歌う。いつだって必ず相手の居場所を探し出しながら、語りかけるとともに耳を傾けるようにして歌う。その精神とスター性は、ステージ上にいる彼女だけでなく、ステージの下でパフォーマンスを鑑賞しているオーディエンスにもスポットライトを当て、輝きをもたらす不思議な力を持つ。

ONCE BEGINS, TWICE BEGINS "ONE IN A MILLION"

 だからこそ、TWICEの楽曲「ONE IN A MILLION」でこんなフレーズを歌いながら、コンサート会場を大きく見渡している彼女の姿が強く胸を打つのだろう。

〈그대는 masterpiece/있는 그대로도 완벽한걸요/One in a million/믿어요 그댄 특별한걸요(あなたはマスターピース/ありのままで完璧だということ/One in a million 信じて、あなたは特別だということ)〉

※1:https://youtu.be/LG_dTjivZx8

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