櫻坂46、かつての“笑わないアイドル”が遂げた変化 1stアルバム『As you know?』が示すグループの現在地
未来を感じ取れる新曲たち
未来という点で象徴的なのが、新しく収録された新曲群だ。グループ初のダブルセンター曲「摩擦係数」は、森田ひかると山﨑天という二期生メンバーが圧巻のパフォーマンスを見せている。ユニット曲「ずっと 春だったらなあ」では、井上梨名・大園玲・田村保乃の3人が儚さのあるメロディを切なく歌い上げ、藤吉夏鈴と森田の2人による「One-way stairs」は洋楽的なメロディをクールに歌いこなしている。これからの未来を担うメンバーたちによる互いに切磋琢磨し合う雰囲気が、新曲から感じられるのだ。
一方で、グループを支えて続けてきた一期生たちの歌唱も見逃せない。〈あの頃に戻ろうぜ〉といったフレーズをパーティー感のあるサウンドに乗せて元気に歌う「タイムマシーンでYeah!」は明るく爽快なボーカルが気持ちいい。また、過去に思いを馳せているという点で共通しているのが「条件反射で泣けて来る」だ。〈昔のことなんかどうだっていいのに/やけに最近 思い出すようになった〉といったノスタルジックな歌詞が印象深い。過去を完全に捨てるわけではなく、思い出しながらも前へと進んでいるのが伝わる。
このように今回の1stアルバムは、変化の真っ只中にいる彼女たちの今が表れた作品だと言える。櫻坂46は現在、オーディションを開催しており、新メンバーの加入が目前に迫っている。新しい仲間が加われば、この変化はさらに激しくなるだろう。アルバムのアートワークに収められた笑顔のように、グループの未来はさらに明るいものとなるはずだ。