HYDE×coldrain、双方のリスペクトが生んだ伝説の一夜 Zepp Hanedaで繰り広げられた攻撃的なパフォーマンス

HYDE×coldrainによる伝説の一夜

 coldrainを迎え撃つのは、もちろんHYDE。怪しい雰囲気を醸し出すSEで幕を開けたライヴは、1曲目の「LET IT OUT」からエンジン全開。暴れまわるバンドメンバーの音と共に歪んだ声をステージに叩きつけ、ロックモードのHYDEがフロアに牙を剝く。観客たちは髪を振り乱し、拳を突き上げながら、ステージから伝わる熱量を受け止める。続く「AFTER LIGHT」で、ライヴのボルテージはさらに上昇。光差す場所へ導くような力強いメッセージが込められたこの曲では、シンガロングするパートをハミングで代用。不自由な中でも強固な一体感を生み出していた。

 「DEFEAT」では上手や下手の端まで行き、観客たち一人ひとりの顔を見つめる。妖艶な歌声で魅了したかと思えば、急に笑いながら飛び跳ねたり、鋭いシャウトを吐き出したりと、一瞬も目が離せない。さらに「SET IN STONE」ではピストルに見立てたマイクをフロアに向け、最後は狂気に満ちた表情で自らの喉を撃ち抜くという衝撃的なパフォーマンスを披露し、観客たちの心に大きな爪痕を残した。

HYDE
HYDE

 ここで昨年のオーケストラツアーで演奏していた未発表曲の「THE ABYSS」をバンドアレンジで披露。鍵盤の流れるような美しくも悲壮感溢れるフレーズから、暗闇の底へと落ちていくようなダークなサウンドへと展開していく。観客たちは身動きせず一心不乱にステージを見つめていた。続く「INTERPLAY」でフロアは再熱。HYDEの煽りに合わせて飛び跳ねたり、クラップをしたりと、思い思いのノリでスタンディングライヴを大いに楽しんでいた。

 MCでは、「coldrainとは海外で会ったこともあるんですけど、海外に出ていくと基本的に大赤字。だから日本で儲けたら別に海外に行く必要はないんです。でも彼らがガンガン行ってるのは、世界に挑戦して実力を試したいってことだと思う。それくらい気合い入ってる。尊敬していました」と赤裸々な思いを語る場面も。さらに、生活が少しずつ日常を取り戻す中、声出しなどライヴ会場の日常をなかなか取り戻すことのできない現状を憂いつつ、「俺たちはこの場所でカオスをつくろうぜ! 俺たちならできるよな!」と力強く叫び、そのままライヴは後半戦へと突入していく。

 軽快なロックチューン「MAD QUALIA」では、床に転がったりスピーカーの上に寝転んだりと、まるで猫のように自由気ままにステージ上をかき回していく。さらに「その場で回れ! 俺たち自由なんだよ!」と呼びかけ、フロアは先ほど宣言した通りのカオス空間へと変わっていく。観客たちは“楽しくて仕方ない!”といった表情でこの現実から解き放たれた空間ではちゃめちゃなノリを繰り広げる。拡声器を使ったパフォーマンスでフロアを盛り上げる「SICK」では、スピーカーの上から飛び降りたり、観客たちが一旦座ってから一斉にジャンプするとステージ上に巨大なエアーダンサーが出現して踊りだしたりと、カオスなライヴはお祭り状態へ。

 Slipknotのカバー曲「Duality」ではドラム缶をバットで叩く過激なパフォーマンスを披露。アッパーなノリが気持ちいい「6 or 9」は新曲にも関わらず観客たちは一瞬にして気に入ったようで、音に合わせてその場でノリが生まれていた。

 ここでMasatoがステージに再登場し、HYDEとツインボーカルでL'Arc〜en〜Cielの「HONEY」を披露。イントロが流れた途端に会場の熱が一気に上がり、観客たちのテンションが急上昇するのがわかった。途中、機材トラブルでHYDEのマイクの調子が悪くなり、二人が顔を寄せ合いながら一本のマイクで歌う場面も。一夜限りの夢のようなステージに、この日一番の盛り上がりを見せた。

 そしてラストを飾るのは、「BELIEVING IN MYSELF」。多彩な楽曲や攻撃的なサウンド、トリッキーなパフォーマンスで観客たちを楽しませてきたが、最後は〈自分を信じていたい そう僕だけは〉〈まだ知らない僕へと 会いに行きたい〉とストレートな言葉で未来への希望を歌うHYDE。その姿に観客たちは心を震わせ、両手を高く掲げながら力の限り飛び跳ね、共鳴していた。

 熱気と余韻をたっぷりと残したまま、HYDEとcoldrainの伝説の一夜は幕を下ろした。終演後は、ライヴハウスでしか味わえない心地よい疲れと解放感が身体に残っていた。

■HYDEライブ情報
『HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH』
2022年6月18日(土)・19 日(日)
東京Zepp Haneda (TOKYO)
Guest Act:18 日(土)ROTTENGRAFFTY/19 日(日) coldrain

2022 年 6 月 25 日(土)・26 日(日)
神奈川 KT Zepp Yokohama
Guest Act (両日): Dragon Ash

2022年7月2日(土)・3日(日)
福岡 Zepp Fukuoka
Guest Act (両日): THE ORAL CIGARETTES

2022 年7月9日(土)・10 日(日) 
大阪 Zepp Osaka Bayside
Guest Act (両日): GASTUNK

2022 年7月 23日(土)・24 日(日) 
愛知 Zepp Nagoya
Guest Act::23日(土) TOTALFAT /24日(日) Crossfaith

2022年8月6日(土)・7日(日)
北海道 Zepp Sapporo
 Guest Act:6日(土)CVLTE/7日(日) NOISEMAKER

全公演 開場 16:30 / 開演 17:30
開場 / 開演時間は予定。変更となる場合あり。

<夏フェス出演情報>
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022
2022年8月6日(土)・7日(日)/11日(木·祝)・12日(金)・13日(土)
※HYDEの出演は8月12日(金)
千葉市蘇我スポーツ公園

SUMMER SONIC 2022 TOKYO
2022年8月20日(土)~21日(日)
※HYDEの出演は8月20日(土)ZOZOマリンスタジアム & 幕張メッセ

氣志團万博2022 ~房総魂~
2022年9月17日(土) ~ 19日(月·祝)
※HYDEの出演は9月18日(日)
千葉県・袖ケ浦海浜公園

THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2022 SPECIAL~KKB鹿児島放送開局四十周年&ミューFM エフエム鹿児島開局三十周年~
2022年10月7日(金)
※10月8日(土)~10日(月・祝)THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2022出演なし
鹿児島市南栄リース桜島広場&グラウンド(桜島多目的広場&溶岩グラウンド)

■coldrainリリース情報
2022年7月6日(水)リリース
ニューアルバム 『Nonnegative』
最新MV 「Before I Go」
https://youtu.be/Jt4lhjjHP2c

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