BLUE ENCOUNT、SHISHAMO、coldrain......初の武道館ライブがバンドにもたらすもの

 日本武道館でのライブを大きな目標のひとつにしているバンドは多い。他のライブとは違う気迫で臨んだり、入念な広報を行ったり、映像メディアにきちんと記録したりすることで、武道館ライブをバンド史におけるメモリアルな位置づけとして残しておくことは少なくないだろう。

 日本武道館でのライブを自身のバンド史における大きな物語に組み込んだバンドのひとつとして、BLUE ENCOUNTが挙げられるのではなかろうか。彼らの武道館ライブは、インディーズ時代のライブ映像が流れるところから始まる。その映像では、将来、自分たちは日本武道館でワンマンライブを行うことを観客に向けて約束する、というシーンが流れる。メジャーデビュー前の約束を果たす、というストーリーをその場にいる観客と改めて共有したうえでライブが始まるわけだが、それは彼らにとってなぜ武道館ライブが大事なのかを端的に説明していると言える。導入できちんとそのことを共有することで、BLUE ENCOUNTにおける武道館ライブの意味を浮き彫りにし、そのライブの特別感を助長させるわけだ。

 BLUE ENCOUNTと対照的なのが、SHISHAMOの武道館ライブである。SHISHAMOもBLUE ENCOUNTのライブと同様、冒頭にビジョンで映像を流し、その映像にはバンドの歴史を振り返るものも含まれている。が、武道館ライブが特別な理由、というところにまでは踏み込んだ演出は行わない。また、メンバーが登場してからも「武道館=特別なもの」ということを語る言葉は発していなかったように思う。(あくまでもBLUE ENCOUNTと比べると)飄々と、いつも通りのテンションでライブを行っていた印象だ。BLUE ENCOUNTが泣くことも厭わず感情を爆発させているのに対し、SHISHAMOはわりと穏やかなテンションでライブを進行していく(リア充は許せん、みたいな通常のライブでもよくある“怒り”を見せていたMCが印象的)。もちろん、この違いは普段のライブパフォーマンスのスタイルの違いということにも通じている。なんせ、BLUE ENCOUNTは普段からエモーションを重要にしているし、この時代のBLUE ENCOUNTのライブは、田邊駿一(Vo/Gt)が号泣するところがある種のハイライトでもあった。そう考えると、むしろ武道館ライブは通常営業だったと捉えられる。いずれにしても、それぞれの個性がより劇的な形で爆発していたことは間違いないだろう。

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