SixTONES、ドラマ『恋マジ』を際立たせる「わたし」の純度の高いせつなさ 6つの個性を昇華したマルチな音楽性

SixTONES、6人が作る純度の高いせつなさ

 SixTONESの7thシングル『わたし』が6月8日にリリースされるが、それに先立って5月17日に表題曲のMUSIC VIDEOが公開され、早くも480万再生(5月25日現在)と大きな注目を集めている。SixTONESのシングルとしては初のバラードとなる同曲は、メンバーの松村北斗が出演する月10ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ/フジテレビ系)の挿入歌で、ドラマスタート時から話題になっていた。

SixTONES – わたし [YouTube ver.] / Watashi [YouTube ver.]

 「わたし」の心が自分でも信じられないくらい突き動かされ、奪われていく様を、ドラマチックに表現した切ないラブバラードだ。サビ始まりでいきなり〈ありえないところまで〉という気になるワードが耳に入ってきて、さらに松村の儚く切ない声が耳元でささやかれているような感覚になる。一瞬にして心をわしづかみにされ、その世界に一気に引き込まれてしまう。引き込まれるとメンバーのソロのリレーで、さらにその世界の奥深くに連れていかれ、楽器の音も増え、打ち込みと壮大なサウンドが絶妙の温度感を作る。そして変幻自在のコーラス、さらにオクターブユニゾンを駆使することで、メロディに迫力が出て全体の音に厚みが増す。おかしな表現かもしれないが、極上の悲哀や憂いに包まれて、どこまでもせつない。こうなると6人が作り出す世界から抜け出せなくなる。

 せつなさを増幅させているのは歌詞だ。英語詞が多いSixTONESの楽曲の中で、この「わたし」には一切英語詞が登場せず、ストレートな日本語のみで構成されている。〈わかってはいるよ それでもとめられないの なんだか“わたし”が わたしじゃない〉と心の“揺れ”を素直な言葉で的確に表現している。文節ごとに、言葉を一つひとつ丁寧に届けようとする6人の声の色と、その思いが伝わってきて誠実さも感じさせてくれる。だから聴き手の心は完全にほどかれ、抱きしめられているような感覚になり、純度の高いせつなさが残る。

 ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』の中で、この曲が流れるとさらに心の奥深くまでせつなさが広がる。広瀬アリス演じる桜沢純と、松村演じる長峰柊磨の関係、恋の行方を描いているこのドラマ。純の心が揺れた瞬間に〈ありえない〉とあの儚い声で歌われると、視聴者の心はグッとひきつけられる。しかもドラマの中で演じている危険な男の声だ。ドラマへの没入感はますます高くなっていく。松村はNHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロイン・橘安子(上白石萌音)の運命を動かしていく夫、“稔さん”こと雉真稔を演じ、全世代を虜にした。その演技はますます冴え、俳優としても引っ張りだこだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる