CYNHN、未来に向かっていくエネルギー 突出した存在感示したZeppワンマンをレポート

CYNHN、Zeppワンマンをレポート

 ライブ本編のラストは「2時のパレード」。ステージ上の光る球体を4人が持ち、そして歌いあげる。本編が約1時間という簡潔な構成も光った。

 アンコールの1曲目は「レア」。レゲエナンバーにして、メンバーの歌声にも軽やかさがある。

 MCでは、メンバーがそれぞれに今の想いを語った。青柳透は、これから新メンバーを迎えることに触れて「何事も新しいことって怖いと思うし、自分もその段階でまだちょっと怖いけど、ソールドアウトするほどいっぱい私たちを見たいと思って来てくれる人がいるってことは大丈夫かなって思うので、これからもぜひついて来てください」と、不安をも正直に吐露した。月雲ねるは、「こういうときに、不安な気持ちとか悲しいとか悔しいとか、そういう気持ちを赤裸々に話したほうが、人々の記憶に残るんじゃないかなっていうのは自分でもわかっているんですけど、私はそういう姿はステージの上では見せるつもりはないので、ここではポジティブな言葉だけ話したいと思います」と言い切った。彼女らしい美学だ。

 綾瀬志希は、いつものように「ええー!?」という大きな声をあげながらも、「みんながいてくれたから、今日ここまで来れたし、本当にここまで連れてきてくれてありがとうございます」と感謝し「戻れない、戻せない時間のなかで、こんなに大好きで、自分の居場所だって思える場所です。私の一生の青春がこのステージにすべてあるので、これから変わっていくものも変わっていかないものもきっとあると思うんですけど、最後まで私たちのことを見てもらえたら嬉しいと思ってます」と涙声で述べた。そして、2022年に入ってから一時休養していた百瀬怜は、「自分のこと」と「CYNHNのこと」にわけてコメントをした。「自分のこと」では、「また、ステージに立ててます。Zepp  DiverCityも立てるかわからなかったですけど、丸々立つことができて、本当にみんなのおかげです」と支えてくれたメンバー、スタッフや友人、そしてファンに、丁寧に感謝を述べた。そして、「CYNHNのこと」については、「CYNHNに入って今日が一番楽しかった」と涙をぐっとこらえながら笑顔を見せた。「自分のこと」と「CYNHNのこと」をわける必要はないのだが、その律義さが百瀬怜らしい。

 そして、「みんなが聴きたい曲だと思う」と紹介されて始まった「AOAWASE」は、4人体制での最初のシングル。ファンの熱を帯びたクラップが会場に響いた。

 ダブルアンコールは「ラルゴ」。本来はパート割りがあるのだが、この日は4人のユニゾンのみで歌っていたのが新鮮だった。CYNHNのいる音楽シーンでは、解散や卒業の話題ばかりだ。そのなかで、まだCYNHNは未来に向かっていくエネルギーがある。この日の「ラルゴ」は、その背中を押すかのように響いた。

 CYNHNは、2022年6月19日に新メンバーを迎えての新体制ライブを開催するという。個人的には、2017年の初頭に出会ったCYNHN(その頃はまだグループ名すらなかった)が、これほどまで成長し続けるとは思いもしなかった。まだ終わらない物語の先を見たい、まだ彼女たちの歌声を聴いていたい。素直にそう思わせられたライブだった。

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