日向坂46 渡邉美穂センター「恋した魚は空を飛ぶ」はグループの原点的な楽曲? 歴代期別曲から振り返る、二期生の歴史

 そして「恋した魚は空を飛ぶ」は、渡邉卒業のノスタルジックな気持ちはカップリングの「飛行機雲ができる理由」に預け、かつて、[Alexandros]やKing Gnuなどの邦楽ロック好きを公言していた渡邉の嗜好を汲んだような、これまでになく攻めたロック調の曲。黒い衣装を着て激しいダンスと表情で踊るMVは、渡邉や小坂の舌打ちのシーンがあるなど、いつになく挑発的な楽曲となった。二期生9人での最後のMVになるため、本来なら感傷的な気持ちになってもおかしくない。しかし、ファン思いの渡邉だからこそ、悲しむより叫べ、と逆に背中を叩かれた気持ちになる。また、予定調和を嫌う渡邉なりのエンタメ精神を最後の最後まで貫いている印象だ。

 「恋した魚は空を飛ぶ」を意外だと感じたリスナーも少なくないだろうが、こういったクールテイストの楽曲は彼女たちの原点でもあり、欅坂46の魂と日向坂46のエンターテイメント性を掛け合わせた、ひらがなけやきから続く、二期生9人の完成形と言えるのではないだろうか。

 ただ本当の完成は、9人揃ってライブで披露してから。「世界にはThank you!が溢れている」も小坂が休養していたことで、全員でのライブパフォーマンスがなかったため、渡邉が卒業する前に披露されることに期待したい。ほかにも今回のシングルでは、2021年の『日向坂46 デビュー2周年記念 Special 2days ~春の大ユニット祭り“おひさまベスト・プレイリスト2021”~』で披露された新ユニットの中から、金村美玖、小坂菜緒、濱岸ひよりの2002年組による「もうこんなに好きになれない」が収録。小坂の休業前後では、金村がセンターを経験し、濱岸はファッション誌の専属モデルになるなど、著しく成長した2人がエースを迎え入れる形となり、新生 日向坂46を象徴するユニットとなった。

 今回の7thシングルは、二期生の集大成だけでなく、二期生のこれからも感じることができる、日向坂46にとって大切なシングルとなった。

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