日向坂46 渡邉美穂センター「恋した魚は空を飛ぶ」はグループの原点的な楽曲? 歴代期別曲から振り返る、二期生の歴史

 日向坂46が、二期生による新曲「恋した魚は空を飛ぶ」MVを公開した。渡邉美穂が7thシングル『僕なんか』の活動をもって卒業するため、二期生9人での最後の楽曲となる今作だが、ノスタルジーに浸るものではなく、渡邉のラストらしい攻めた楽曲となった。

 2017年4月6日に開催された欅坂46『1st YEAR ANNIVERSARY LIVE』で、改名前のけやき坂46(ひらがなけやき)として「ひらがなけやきパワーアップ計画」と題したメンバーの追加募集を発表。8月13日に選出された合格者9名が今の二期生となる。当時は初の全国ツアー中で、初主演ドラマ『Re:Mind』(テレビ東京)の制作が決まっていたほか、長濱ねるの兼任の解除が発表されるなど、二期生の加入は本格的に欅坂46からの独立を見据えた補強を意味していた。

日向坂46『恋した魚は空を飛ぶ』

 二期生初の楽曲は、2018年3月7日にリリースした欅坂46の6thシングル『ガラスを割れ!』通常盤に収録された「半分の記憶」。当時15歳だった小坂菜緒がセンターを務め、恋人同士のすれ違いを歌った恋愛曲だった。欅坂46のクールな魂を引き継ぎながらも、先輩たちとは異なる大人目線の楽曲で色の違いを見せる。この路線は、日向坂46の3rdシングル曲「こんなに好きになっちゃっていいの?」や最新シングル曲「僕なんか」に通じるものがあり、ハッピーオーラや応援ソングが多いイメージの日向坂46において、クールな恋愛ソング路線は二期生の原点とも言える。それを考えると、小坂の復帰作であり、渡邉が卒業するタイミングで、原点を感じさせる曲を歌うことは感慨深いものがある。

 2018年6月20日発売のけやき坂46初の単独デビューアルバム『走り出す瞬間』に収録されたのが「未熟な怒り」と「最前列へ」。当時のけやき坂46は、生きている意味を問う欅坂46的な路線と、自分たちのアイデンティティを問う楽曲が多かった時期で、いずれの楽曲もその2つの流れを汲んだものを感じる。二期生はお互いが良いライバル関係で切磋琢磨して成長していく印象もあり、ひらがなけやき時代の二期生楽曲はクールだ。

 日向坂46のデビューシングル『キュン』に収録されたのが「沈黙が愛なら」。日向坂46が「キュン」などのアップテンポな曲で新たなイメージになっていく中、美しいメロディラインを残したこの楽曲は、けやき坂46時代を彷彿とさせた。以降は三期生・上村ひなのが加わり、疾走感のある二期生・三期生曲「Dash&Rush」やエモーショナルな「君のため何ができるだろう」など、全体曲とはまた違ったエンターテインメント性に溢れる楽曲を発表。純粋な二期生曲となった5thシングル収録「世界にはThank you!が溢れている」はハッピーで王道な楽曲。二期生は様々なジャンルで一期生に負けずとも劣らない活躍ぶりで、そのポテンシャルの高さから"最強の二期生"と囁かれ、みんなから愛される個性派集団となった。「世界にはThank you!が溢れている」MVは、そんな日向坂46になってからのパブリックイメージを具現化したような映像となっている。

日向坂46『世界にはThank you!が溢れている』

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