櫻坂46「五月雨よ」&日向坂46「僕なんか」で話題 センチミリメンタル 温詞、言葉を美しく輝かせるメロディセンス
坂道グループ界隈で今、にわかに話題になっている人がいる。それが温詞(あつし)という名の人物だ。
4月6日にリリースされた櫻坂46の4thシングル曲「五月雨よ」、日向坂46が6月1日に発売予定の7thシングル曲「僕なんか」の作曲・編曲にクレジットされているこの温詞という作家(編曲はともにTomoLowとの共同クレジット)。それまで坂道の作品とは縁がなかったにも関わらず、この短い間に提供した作品が立て続けに両グループの表題曲に採用されたとあって、坂道ファンの間では「温詞って誰?」「すごい才能が現れた」「この人の曲もっと聴きたい」といった声が上がっているのだ。
サビで光る独創的なメロディセンス
温詞は、作詞・作曲・編曲に加え、ボーカルやピアノのみならずギターやプログラミングに至るまですべてを一人でこなすマルチプレイヤー。自身によるソロプロジェクト・センチミリメンタルとして2019年にメジャーデビューし、これまでにシングル3枚、フルアルバムを1枚リリース。アニメ作品にも楽曲を多数提供している。アーティストとしてもプロデューサーとしても将来を嘱望されているミュージシャンの一人だ。
彼のソングライティングの魅力を一言で表すなら、その独創的なメロディセンスという言葉に尽きるだろう。
例えば、櫻坂46の「五月雨よ」ではサビのメロディが印象深い。曲名にもなっている〈五月雨よ〉のフレーズから始まるこの曲のサビは、高い音から徐々に階段状で下降していくラインを描く。しかも同じサビの中で似たメロディを何度も繰り返すため、サビ始まりの構成も相まって非常に耳に残る作りになっているのだ。同様に日向坂46の「僕なんか」も特徴的。ガールズグループの曲にしては低めのメロディから、サビ終盤で勢いよく畳み掛けて行くような流れを見せる。全体的に下から這い上がっていくような力強い旋律が彼女たちらしくて良い。