櫻坂46 原田葵&松田里奈に聞く、『五月雨よ』で伝えた優しさと穏やかさ これからに向けたそれぞれの決意も

櫻坂46 原田葵&松田里奈、それぞれの決意

 櫻坂46が、4thシングル『五月雨よ』をリリースした。最年少メンバー・山﨑天がセンターを務め、温詞(センチミリメンタル)が作曲を手がけた同作表題曲はこれまでのグループのイメージとは異なるサウンドに。カップリング曲には全員参加曲で今作で卒業する渡邉理佐がセンターを務める「僕のジレンマ」や、森田ひかるがセンターを務めるアップテンポな「車間距離」などを収録。充実の最新シングルについて、今作をもって卒業する原田葵と、バラエティなどでも活躍中の松田里奈に聞いた。(編集部)【記事最後にプレゼント情報あり】

「五月雨よ」は恋愛だけではなく、大切な人を思い浮かべても当てはまる曲

──4thシングル『五月雨よ』では、これまでの3枚とは違った櫻坂46の側面を見つけることができますね。表題曲「五月雨よ」を最初に受け取ったとき、松田さんはこの曲をどう解釈しましたか?

櫻坂46 松田里奈

松田里奈(以下、松田):最初、パッと聴いた感じは好きな人のことを思って歌った、恋愛の曲なのかなと感じました。でも、何度も聴いているうちに男女の恋愛だけではなくてもっと広く、大切な人を思い浮かべて聴いても当てはまる曲なのかなと思うようになって。今までのシングル表題曲は恋愛がテーマの楽曲ではなかったので、ここにきて新しい挑戦の1曲になりそうだなと思いました。

──これまでの楽曲は、どちらかというと自分自身と向き合うようなテーマが中心でしたものね。

松田:そうなんです。そういう意味でも、櫻坂46として新しい一面がお見せできるのかなと思います。例えば前回の「流れ弾」は全然違う感じなので、この曲から櫻坂のことを知っていただいた方には「こういう曲もできるんだ」とギャップを感じていただければと思います。

──歌詞も綺麗な言葉で構成されています。

松田:私がすごく共感したのは、〈はっきりとしないのは 天気も気持ちも同じ〉というフレーズ。天気で気持ちを表現できるよねという思いが込められていて、まさにこの曲そのものを表しているようなフレーズかなと思います。

──原田さんはこの曲を聴いて、どう感じましたか?

櫻坂46 原田葵

原田葵(以下、原田):今までのシングル表題曲とは違った、温かみがあって優しいメロディと歌詞ですし、恋愛について書かれている曲だとは思うんですけど、「言いたいけど言えない」みたいにモヤッとした気持ちがいろんなものに当てはまる、すごく良い歌詞だなと思いました。

──そのモヤモヤって、昨今の状況にも当てはまるものがありますし、きっと聴いていて晴れやかな気持ちになる方も多いかもしれませんね。

原田:うん、そうですね。

──この曲でセンターを務めるのは山﨑天さん。この曲での彼女はどう映りますか?

松田:天ちゃんはパフォーマンスになると最年少とは思えないくらいカッコよくて、私自身すごく刺激をもらっているんですけど、過去にセンターを務めてきた「Buddies」とか仲間を思う温かみのある曲や今回の「五月雨よ」みたいな曲調も表現できて、「なんでもできるじゃん!」っていう印象で。すごくいろんな見せ方を知っているし、そのぶん勉強をたくさんしているんだろうなと感じています。

原田:やっぱりライブやツアーを通して、毎回どんどん進歩していて。可愛さもありつつカッコよさもあるパフォーマンスができるのが、まだ高校生なのに本当にすごいなって思って見ています。しかも、天ちゃんってグループの中では末っ子で可愛がられるポジションであると同時に、誰よりもメンバー思いで優しい性格の持ち主で、この曲を歌ったときにそういった彼女の包み込むような優しさがより強くにじみ出ていて。この歌詞の主人公と、楽屋でピュアなことを言っている天ちゃんの姿が重なって感じられるので、これから歌番組やライブでのパフォーマンスが楽しみだなと思います。

──最年少の彼女が歌うからこその、歌詞のピュアさというか。

原田:そうなんです。よりまっすぐに響くんです。

松田:本当に天ちゃんの声にピッタリな曲だと思います。私は櫻坂メンバー全員の声や歌い方が好きなんですけど、特にこの曲では天ちゃんの個性をソロパートからじっくり感じられるので、そこは聴きどころです。

──MVも幻想的な仕上がりで、これまでのダンスでがっつり見せるタイプとは違った内容です。

櫻坂46『五月雨よ』

松田:すすきがたくさん生えている草原や湖で撮った日は本当に天気に恵まれて、雨が降らなくてよかったです。でも、雨が降ったらそれはそれで……。

原田:歌詞の世界に合っているかも(笑)。

松田:ね。今回はフィルムカメラで撮影していることもあって、映像にざらつきがあったりと味のある仕上がりになっています。あとは、このMVではダンスだけじゃなくて歌でもしっかりメッセージを届けたいという思いが強いので、体全体を使って大きく踊るというよりは、体の前で手だけを動かす振り付けもあったりします。

──特に櫻坂46に改名してから、ダンスの表現も女性らしいしなやかさが強調されたものが増えている印象があります。

松田:確かにそうですね、「Nobody's fault」から女性らしい動きが増えていて。特に今回は胸の前で手をくるくる回す振りがあるんですが、それに合わせて胸や足も動かすので、最初はその絶妙なしなやかさの表現が難しくて。メンバーの年齢自体も大人になってきているので、そういう大人の女性を思わせる表現が増えているのはうれしいです。

「僕のジレンマ」MV撮影秘話

──一方、「僕のジレンマ」は全員参加曲。この曲を最初に聴いたとき、おふたりはどう感じましたか?

原田:全員で制作できることが、まずは何よりうれしくて。この曲の振り動画には、1期生がギュッと固まる振り付けがあったり、メンバーがひとり1回は(渡邉)理佐と一緒に踊るシーンがあったりするんです。あとで聞いたんですが、メンバーのふーちゃん(齋藤冬優花)はその振り動画を電車で観たそうで、その振り付けに泣いてしまって一旦止めて、家に帰ってから全部観たと言っていました(笑)。私もその振り付けにはウルっとくるものがあったので、最後にこういう曲をいただけて、しかもそれをメンバー全員でパフォーマンスできることが本当に幸せだなと感じました。

──原田さんにとっても、1期生全員と一緒にパフォーマンスするという意味では最後の楽曲ですものね。

原田:そうですね。ジレンマって卒業を決断するときだけじゃなくて、皆さんいろんな瞬間に感じると思うんです。卒業となると、卒業に対して直球なメッセージの楽曲が多いんですけど、「僕のジレンマ」は卒業だけじゃなくて人生のいろんなことに当てはまって、そういった意味でも「うんうん、そうだよな」と共感してもらえる人も多いと思います。すごく櫻坂46らしくて好きな曲です。

松田:私自身、優柔不断で、なかなか決断できないタイプなんです。だから、この曲を聴いたときに「ああ、わかる!」って共感できるフレーズがたくさんあって。なので、何かに迷ったときに聴いていただきたい曲です。

──MV撮影も全員で行いましたが、1期生・2期生全員が出演するMVは初めてですよね。

櫻坂46『僕のジレンマ』

松田:そうなんです。なので、こうやって記録として残せることがうれしくて。でも、撮影中はすごく寒かったです(笑)。

原田:そうだね(笑)。今回の制作で、これが最初に撮ったMVだったんだよね。

松田:そうです。ちょっとどうにかなってしまいそうなぐらい、本当に寒い時期で。しかも、青の衣装はシースルーだから本当に寒いんですよ。

原田:あの寒さは、過去イチだったかも。

松田:今回は風が強かったですし。

原田:でも、おかげで耐性がついて、寒い中でもコートを脱いで何かをしていると「寒くないの?」ってよく聞かれて、「布があるだけ全然マシ!」と答えてます(笑)。

松田:「寒い……けど、今回は布があるから」って妙に安心するというか(笑)。

原田:「ノースリーブと比べたら全然大丈夫!」と思っちゃう(笑)。

──撮影中、印象に残ったことや好きなシーンはありますか?

松田:今回は衣装を2パターン着たんですが、私はさっき話した青のシースルーの色味が大好きで。その衣装を着て踊った最初のAメロとサビは森の緑とマッチしていて、個人的にもお気に入りのシーンです。

原田:何人かに「最後だね」って言われたんですけど、自分的には寂しさよりもすごく楽しい撮影だったし、現場で撮った映像をプレイバックで観ていても、みんながいるからこその迫力だったり、櫻坂らしいオーラや色が出ていて、いつもとはまた違った良さを感じることができました。お気に入りのシーンは、2サビに行く前に(上村)莉菜ちゃんが笑顔で理佐をポン! と押す場面ですね。莉菜ちゃんがすごく可愛いんです。だけど、この撮影は何より空き時間が楽しかったんですよ

松田:そうなんですよね(笑)。

原田:寒いのにコートを脱いで、衣装でみんなで写真を撮ったり、枯れ葉を乗せ合ったりとか(笑)。そういう一つひとつが思い出というか、忘れられないものになるのかなと思います。

──歌詞の主人公の心の揺れ動きを、映像では笑顔や涙で表現していて、観ているだけで心が揺さぶられる作品でした。

櫻坂46 原田葵 松田里奈
櫻坂46 原田葵 松田里奈

原田・松田:ありがとうございます。

原田:時の流れとともに私たちも成長して、今だからこそ出せる曲なんだなということを、私自身もMVを観て感じました。

──この曲でセンターを務める渡邉理佐さんは、松田さんには今回どう映りましたか?

松田:ちょっと覚悟を決めたような理佐さんが見れたような気がして。例えば、MVだったら最後のシーンは何かを決心した表情に見えましたし、私たちに「大丈夫だよ!」と言ってくれているような感覚もありました。

──原田さんは同じタイミングに卒業することになりましたが、この曲における理佐さんはどう見えましたか?

原田:内側に秘める繊細なものも、表に立つときの力強さや安定感、頼もしさというものも、すべてが詰め込まれた曲になったと感じていて。ここまで頑張ってきた集大成がこうやって形になるというのは、すごく素敵だなと改めて感じました。

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