稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾が“ワルイコ”っぷりを発揮 3人でしか生み出せない新しい教育系バラエティ

 4月9日からいよいよレギュラー放送が始まった『ワルイコあつまれ』(NHK Eテレ)。稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による新しい教育系バラエティだ。これまで4回の特番が放送されてきたものの、やはりレギュラー放送となると楽しみも倍増。これからオンエアされるごとに各キャラクターやコーナーが育っていく様子を見届ける喜びができた。

 この番組は、そのタイトルにある“ワルイコ”がキーワード。それは、このNGだらけの時代において、“イイコ”の枠にとどまらない好奇心や様々な価値観を大切にしていこう、という願いから。そこで、初回オンエアから3人がどんな“ワルイコ”っぷりを発揮してくれたのか、振り返ってみたい。

イメージを覆すツンデレっぷりで笑いを誘う稲垣

 初回の勢いを感じさせてくれたのは、稲垣の活躍ではないだろうか。日頃から髪型へのこだわりを言及し、「被り物NG」と言い続けてきた稲垣。それが前フリとなるかのように、番組冒頭から烏帽子をかぶった安倍晴明として、タイムスリップコーナー『慎吾ママの部屋』に登場してみせる。

 その安倍晴明のキャラクターも一筋縄ではいかない。多くの人が小説や映画などから抱いてきたイメージを「占い師じゃないし。“ダー!”とか“ヤー!”とか(言って悪霊を祓うようなことは)しないから」「毎日役所づとめです」とバッサバッサと斬っていく。

 もともと超人的なパワーを持ったスーパーヒーローではなく、同じひとりの人間であること。それでも周囲の人が様々な伝説を語りたくなるほど、興味を惹きつけてやまなかった魅力的な人であったこと。そんな安倍晴明の姿を、現代の国民的アイドルとして様々なイメージを持たれる稲垣が解説していくことで説得力が増すように感じた。

 さらに「そういうことやらないから」と言う割には、禹歩(うふ)という陰陽師がまじないを唱えながら舞踏する作法を快く披露してくれる、というサービス精神を見せる場面も。とはいえ、後世で語り継がれてきたイメージよりも地味な展開に「やったんだよ今、テレビ初だよ? 不満?」と自ら切り込んでいくところも、人間味溢れていておかしい。自ら笑われにいくことは好まない。けれど、イジられることはいつだってウェルカム。そのツンデレっぷりが稲垣ならではの“ワルイコ”要素だ。

 後半、初めて出てきた88歳の“お婆ちゃんYouTuberヨネキン(米田きん)”に扮した美しすぎる姿も、「ユーチュー婆!」「老眼フリーマン(モーガン・フリーマン)」とダジャレを言う様子も、イジられ待ちなのかと思うと愛しさが増す。稲垣のチャーミングな一面が引き出される新たなキャラクターが、名物になっていくのを期待してしまう。

自由奔放なハジけっぷりが微笑ましい草なぎ

 「ズコズコにゃーにゃー! ズコにゃーにゃー!」。初回オンエアを観た人のなかには、そんなフレーズが頭から離れなくなったという人も少なくないのではないだろうか。これは、先述した稲垣扮する“お婆ちゃんYouTuberヨネキン”の相棒として登場した猫のニャン吉の口癖。

 草なぎが声を担当しているのだが、3月24日に放送された直前スペシャル『ワルイコあつまれ~もうすぐスタート!』では、そのセリフの多くが草なぎのアドリブだったことが伝えられている。だからだろうか、ニャン吉の紹介テロップには「すぐ調子にのる猫」と書かれてしまっているのも、スタッフからのツッコミではないかと見逃せない。

 草なぎのタレントとしての魅力は、スイッチが入ったら止まらないところ。その高い演技力が「憑依型」と呼ばれるのも、スイッチの切り替えによって周囲の想像を大きく超える姿を見せてくれるから。初回放送では、そんな草なぎが『好きの取調室』と題し、腕利きの捜査官として大学の助教を事情聴取していくコーナーも披露された。

 キリンをはじめとした大型動物の解剖学を専門とする助教が、その仕事について淡々と説明するのに対し、迫真の演技で食らいつく草なぎの熱量の差がこのコーナーの面白さ。重大事件さながら、これほど熱を込めて事実を問い詰めていく場面はなかなかないだろう。それだけ、明日からキリンの雑学について話したくなるほどハッキリと印象に残る。

 それも草なぎのいい意味での「暴走」とも言えるアクションがあればこそ。きっとこの先どこへ行っても、このような形でキリンの生態について知る機会はないだろうと確信が持てる。そんなシュールさが癖になりそうなコーナーだ。

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