慎吾ママや徳川慶喜も登場 突如始まった『ワルイコあつまれ』、新しい地図の3人が提案する学び方とは?

新しい地図
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 本日9月20日、『ワルイコあつまれ』(NHK Eテレ)の#2がオンエアされる。『ワルイコあつまれ』は、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による教育バラエティ。「学校で教えてくれそうで、ちゃんとは教えてくれないこと」をコンセプトに、子どもも大人も楽しんで学ぶことができるコーナーがオムニバス形式で展開される。

 久しぶりに3人が揃ってスタジオバラエティに挑戦するーーしかも、企画には香取のアイデアも取り入れられているという。そんな期待の新番組であるにも関わらず、スタートに際して事前の宣伝や告知が一切なかったことでも大きな話題となった。番組の内容も、始まり方も実験的。平成のアイドル像を変え、常に時代の開拓者となってきた、彼ららしい番組だ。

世代を超えて視聴者を結ぶバラエティ力

 何の説明もなかった#1のオンエア時、いきなり香取扮する慎吾ママが画面に登場したのには、多くの人が度肝を抜かれたに違いない。2000年にシングル『慎吾ママのおはロック』でミリオンヒットを飛ばし、「おっはー」が流行語大賞にもなった慎吾ママ。実に21年ぶりに復活だ。それは、ずっと彼らを応援してきたファンはもちろんのこと、かつて子どもだった今の親世代の胸も熱くさせたのではないだろうか。

 そんな慎吾ママがMCを務めるコーナー「タイムスリップトーク『慎吾ママの部屋』」は、ゲストに迎え、現代のトーク番組のように偉人について知ることができるというもの。初回のゲストは、まさかのNHK大河ドラマ『青天を衝け』で草なぎが演じる、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜。「なかなか華やかな場所であるな」、ドラマの中の口調そのままに草なぎが徳川慶喜として慎吾ママと語り合うのが面白い。

 「ヨッシー?」「ノブ?」と慎吾ママが慶喜のニックネームを考える場面では、「慶喜でお願い申したい」と眼光鋭く語気を強める。その迫力は、香取がかねてより絶賛する役者・草なぎ剛の顔そのもの。「おお〜!」と思わず感嘆の声を上げ「斬られそう!」と、草なぎの才能に触れた喜びを噛みしめる香取の様子に、こちらまで思わずうれしくなってしまう一幕であった。

 その本気の演技があるからこそ、慶喜が将軍になった際に開かれた晩餐会で高級フレンチが提供されたことや、家臣と共にコーヒーを楽しんだことなど、歴史上の出来事が“かつて本当に生きていた人”のエピソードとして伝わってくる。多趣味として知られる慶喜が実際に描いた絵画や撮影した写真の紹介など、歴史の教科書でもなかなか触れることのできない人間味あふれるエピソードについても、一層身近なものとして感じることができるのだ。

 慎吾ママは、慶喜が静岡で撮影したという鉄橋の上を汽車が走る様子を撮った写真を見て「撮り鉄(撮影専門の鉄道好き)のはしりだね!」とツッコミを入れつつ、千葉の松戸で撮られたという慶喜の後ろ姿の写真には、ファッション好きならではの視点で「流行りのバケハ(バスケットハット)じゃん!」と帽子について言及していく。そうした現代における身近なワードを織り交ぜながらテーマと視聴者との間を繋いでいくのは、香取の最も得意とするところ。

 コーナーの終わりに発せられた「お友達を紹介して」というフレーズからは、思わず草なぎと香取が出演していた『笑っていいとも!』(フジテレビ系)内のコーナー「テレフォンショッキング」を思い出す。さながら、慶喜が大河ドラマの番組宣伝にやってきたというところだろうか。またラストに「スマホで記念撮影を」と共に自撮りをしていく姿には、彼らが毎月第一日曜日に生放送しているレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』(ABEMA)を彷彿とさせた。

 世代も、時代も、メディアの慣例も超えていく……改めて彼らが動くときはいつだって何か「こうでなければならない」という枠を超えてきた印象がある。彼らは、知らずしらずのうちに凝り固まりつつあるものを取り払い、私たちにまた新しいエンタメを見せてくれようとしているのではないだろうか。

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