ASIAN KUNG-FU GENERATIONの歩みは4人だけのものではないーー様々なゲストを迎えた25周年ライブ

アジカン25周年ライブレポ

 そして、今回の公演の一番のハイライトを担ったのが、ライブで初披露された「You To You」だ。この楽曲は、まさに、25年のその先へと歩み始めたアジカンが鳴らす、バンドの新章開幕を告げる祝砲である。三船雅也(ROTH BART BARON)の高らかなファルセットは、まるで祈りそのもののような荘厳で美しい響きを放っていて、後藤が紡ぐ未来へ向けたメッセージに、言葉だけでは伝え切れない想いを丁寧に重ねていく。音楽の根源的な可能性を思い起こさせてくれるような、とても感動的なコラボレーションだった。

三船雅也(ROTH BART BARON)
三船雅也(ROTH BART BARON)

 本編ラストは、村田ストリングスチームと井上陽介(Turntable Films)を迎え入れて、「フラワーズ」「海岸通り」を披露。流麗なストリングスと、温かいアコースティックギターの調べによって、楽曲本来のメロディの美しさが際立っていく。

 アンコールは、4人で「俺たちを世界に連れて行ってくれた曲」として紹介した「遥か彼方」を披露。ステージの壁面には、過去のライブ映像における熱狂する客席の光景が映し出されていた。それは、いつか再び、自由に声を出してライブを楽しめる日が来ることを願うかのような演出であったと思う。そして、今回の公演は「今を生きて」で大団円を迎える。終演後、ステージの前方からも、後方からも、いつまでも拍手が鳴り止まなかった。今回の公演は、メンバー4人がファンへの感謝を伝えるためのものであると同時に、ファンが直接メンバーへ感謝を伝える大切な機会でもあった。アジカンの歩みは、決して4人だけのものではない。改めて、そう強く感じた。

 なお彼らは、春フェスへの出演を経て、5月から待望の全国ツアーの開催を予定している。そのツアーで、私たちは、今回その一部が明かされた10thアルバム『プラネットフォークス』の真髄に初めて触れることができるのだと思う。まずは、3月30日のCDリリースを楽しみに待ちたい。

『25th Anniversary Tour 2021 Special Concert “More Than a Quarter-Century”』セットリスト:https://kmu.lnk.to/AKG_25thSetlist

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