NEWSは困難のたびに強くなるーー『STORY』ツアーで証明した不屈の精神と3人での姿

 たどり着いた場所が観たかった景色とは異なっていたとしても、「幸せだ」と笑えたなら。それは“完璧な旅”よりも、ずっと強く心に残るのではないか。

 NEWSが2022年2月にリリースしたライブツアーBlu-ray&DVD『NEWS LIVE TOUR 2020 STORY』を観て、そんな感想を抱いた。

“3人のNEWSを証明する”という気迫

 このライブツアーは、『NEVERLAND』(2017年)、『EPCOTIA』(2018年)、『WORLDISTA』(2019年)、そして『STORY』(2020年)へと続いてきた4部作の終着地だ。4人で始めた旅。まさか3人でこの地を踏むことになるとは、誰も想像することができなかっただろう。

 これまでも多くの試練を乗り越え、そのたびに立ち上がってきたNEWS。だが、2020年に起きた混乱は、ひときわ衝撃と痛みを伴うものだった。エンタメ業界全体が揺らぐ中、NEWSは4年かけて歩み続けてきた旅を中断せざるを得なくなった。

 『STORY』のライブも、2020年にゲネプロ(本番と同条件で行なう通し最終リハーサル)まで終えていたという。あと一歩。そう、もう少しのところで4年越しに夢見た景色を見られるはずだった。だが、現実はそうはいかなかった。

 「4人で作ってきたのを3人に作り変えなければいけない」。明けて2021年、延期していたライブを開催するにあたり、調整に取り組む3人の姿が初回盤DISC3に収められた密着映像「Documentary film of (NEW) STORY」で映し出された。

 ステージパフォーマンスのフォーメーションから、映像で描かれる物語、これまでの想いが込められた衣装……そのどれもが完璧を目指して積み上げられてきたもの。メンバーも、スタッフも、そしてファンも、誰もが「思い描いたもの」とは、どうしたって違うものになってしまったことを実感する。シンボルのように掲げてきた四つ葉のクローバーも、その意味が変わってしまった。

 しかし、彼らはそんな現実から決して目をそむけなかった。あえて話題を避けることなく、むしろ「3人のNEWSは証明できたんじゃないかな」と確信する加藤シゲアキの強い眼差し。「ここに立ちたくてやっていた」と改めて自分の役割を全うした手応えを語る小山慶一郎。そして、ライブ終盤に「ずっとこの仕事を続けていきたい。 NEWSで」と夢を語り、センターに立つ自覚を見せてくれた増田貴久。

 このライブは、みんなが願った“完璧な旅の終わり”ではなかったかもしれない。けれど、これ以上ない可能性に満ちた新たなスタートに見えた。

みんなで作るのがNEWSのSTORY

 多くの物語では、新たな地へと冒険する者のほうが主人公になりやすい。たしかに新たな挑戦は思わぬ出会いを呼び、ドラマチックな展開が生まれるものだから。だが、その冒険者が離れた地に残った人たちの人生も続く。それまで築き上げてきたものを守っていくことも、またひとつのドラマ。むしろ現実社会においては、そんなふうに生きる人のほうが大多数なのではないだろうか。

 人生は、むしろ思い通りにいかないことのほうが多い。かといって、別の新天地を目指してばかりもいられないし、「完璧じゃないから」といって人生をリセットすることもできない。そんなやるせなさを抱えているときにこそ、NEWSの歌に胸を打たれるのだ。

 〈生きていく すべて抱え 進んで行く 自分(きみ)のSTORY〉とは、このライブのクライマックスを飾り、今のNEWSを象徴する曲「NEW STORY」の一節だ。彼らの物語はデビューして「めでたしめでたし」で終わることなく、新たな夢を掲げては、それが手のひらからこぼれ落ちていくのを眺めてきた。何度も何度も。

 それでも、生きていく。すべての感情を抱えて進み続ける。それがNEWSというグループの生き様であり、振り絞るように歌い上げる糧になっていった。そして、3人が今この景色を悲観することなく、むしろ「いける」と自信に満ちているように見えるのは、〈自分(きみ)のSTORY〉とあるように、このNEWSの歩みがメンバーだけではなく、ファンと共に作り上げてきた積み重ねがあるからだろう。

 増田は、この4部作をスタッフやファンと「みんなで作った、すごいこと」だと振り返る。NEWSとは、もはやメンバーだけを意味するのではなく、そこに集まったみんなの“居場所”を指す言葉になりつつあるように感じた。1人では厳しいかもしれないけれど、みんなとなら紡ぎ続けることができる。それが、NEWSのSTORYであり、これからも続く一度きりの物語なのだろう。

NEWS - STORY [from NEWS LIVE TOUR 2020 STORY]

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