やなぎなぎ、ロマンを追い求める10年間の旅路 「メルト」カバーから最新曲「Roundabout」に繋がる創作の日々を辿る

やなぎなぎ、ロマンを追い求める10年間の旅路

麻枝さんの新しい曲を歌うたびにレベルアップしている

「君という神話」

ーーまた、今作には麻枝准さんとのコラボで生まれた楽曲のうち、「終わりの世界から」(2012年)と「君という神話」(2020年)の2曲が収録されています。

やなぎなぎ:麻枝さんとの楽曲も投票で人気がありまして。特に最初にご一緒させていただいた「終わりの世界から」は、今でも根強く好きでいてくださる方が多いみたいなんです。それから約10年の時を経て、麻枝さんがまた声をかけてくださって、「君という神話」を歌わせていただいたのですが、それも長く活動を続けているからこそですし、自分の中でもポイントになる出会いだったのかなと思います。

ーー麻枝さんとは、2012年のコラボアルバム『終わりの惑星のLove Song』からの付き合いになるかと思いますが、そもそもどのような経緯でご一緒することになったのでしょうか?

やなぎなぎ:最初は麻枝さんサイドから私の個人メール宛てにご連絡をいただいたんですよ。その時点で楽曲も大体できあがっていて、「この作品を全曲やなぎなぎさんに歌ってもらえないでしょうか?」ということだったので、突然すぎて最初は「えっ!? これはあの私が知っている麻枝准さんなのかなあ……」という感じでした(笑)。

ーーそれが今や、先日サービス開始した麻枝さんがシナリオ・音楽を手がけるアプリゲーム「ヘブンバーンズレッド」でもご一緒されていて。麻枝さんが書かれる楽曲はかなり個性的ですが、やなぎさんはどんな印象をお持ちですか?

やなぎなぎ:麻枝さんは多分、音としていかにかっこいいかを追求するアプローチなので、あまり歌う人のことは考えていらっしゃらないんですよ(笑)。もちろん想像はしているとは思うんですけど、これを生身の人間が歌ったときにどれくらいの難易度になるかは、あまり考えていない印象があって。なので楽曲はかっこいいんですけど、歌うのにはかなり修行が必要です(笑)。私も麻枝さんの新しい曲を歌うたびにレベルアップしている気がします。

ーー本当に修行じゃないですか(笑)。

やなぎなぎ:「ここはどうやったら歌うことができるんだろう?」というのをクリアできたときの喜びはすごいです(笑)。だから麻枝さんの書かれる楽曲は、Sっ気のあるメロディーが特徴だと思います。

ーーやなぎさんはアルバムを制作する際、曲順にも大変こだわられますが、今作の曲順はどのように決めましたか?

やなぎなぎ:今回はすごく難しくて。なにせ音質もバラバラですし、歌も10年以上前のものから最新のものまであって、ジャンルも楽曲ごとに全然違うので、どうまとめていいのかわからなくて(苦笑)。そんななかでも、改めて収録曲を並べたときに、歌やアレンジの方向性として似通っているものがあったので、そういう「似たもの同士のグループ」を作ったんです。楽曲ごとに「きみはこのグループに入りそうだね」という感じで選り分けて、通して聴いたときにスムーズに聴けるものになるようまとめました。

ーーそのグループ分けは大まかにどういった区分になっているのでしょうか?

やなぎなぎ:大まかには4グループに分かれていて、わかりやすいところで言うと、最初のセクションはサウンド的に元気でビートが効いている感じの曲、もしくはキャッチーな曲という括りで集めてみました。「恋文」(2011年)の辺りは“しっとりゾーン”ですね。そこからであれば自分で作曲した楽曲の流れに自然に繋がると思ったので、「オールトの夢」(2010年)や「未明の君と薄明の魔法」(2018年)といった自分で作った楽曲はそこで固めてみたりしています。

ーー曲順の話で言うと特に終盤の3曲、「ビードロ模様」から「深遠」(2008年)、「CorLeonis」(2007年)と続く流れは、やなぎさんにとって大切な部分のように感じました。「深遠」と「CorLeonis」はやなぎさんが同人活動をしていた時代から歌ってきた曲ですが、これらをラストに持ってきたのは?

やなぎなぎ:「ビードロ模様」はデビューしてからずっと一緒に歩んできた楽曲なので、メジャー活動のなかで制作してきた楽曲としては、私にとってもイチ押しの曲になるのですが、そこから「深遠」や「CorLeonis」に繋げたのは、この2曲が自分の表現の大きな部分を占めているからですね。自分が曲作りをしたいと思ったそのときの気持ちが詰まっているので、改めて最後に私のルーツを聴いてもらえたらと思って、この並びにしました。

ーー確かに「深遠」は、幼少期の記憶や子供の頃の純粋な気持ちが歌詞のモチーフになっていて、やなぎさんの原点のようなものが表現されているように思います。

やなぎなぎ:私は“忘れる”というのがすごく嫌で、忘れたくないものを形にして残しておきたい気持ちで音楽を作り始めたんです。自分が幼かった頃の記憶というのは、新しいことを覚えていくことで、どうしても少しずつ削れていくじゃないですか。そういうものをいつでも思い出せるようにしたくて、自分が幼少期に見た心象風景みたいなものを書き留めたのが「深遠」という曲なんです。なので私はこの曲を聴くたびに、自分が小さかったときに覚えていた風景がフワッと甦ったりするんですね。スケッチするような気持ちで作った曲です。

ーーやなぎさんの創作活動の原動力、音楽を作り始めた理由が、この曲には詰まっているわけですね。もう一方の「CorLeonis」ですが、この曲名になっている“コル・レオニス(Cor Leonis)”は、やなぎさんが同人活動をされていたときのサークル名でもありますよね。

やなぎなぎ:はい。自分で運営していたサイトの名前にもしていました。“コル・レオニス”はしし座の心臓の部分にあたる星の名前なのですが、私は昔から星が好きだったので、活動するにあたって何か星にまつわるものを自分自身のひとつのテーマにしたいなと思ったんです。そのときに見つけて気に入ったのがこの言葉でした。

ーーそんな大切な言葉を冠した「CorLeonis」は、当時どのような気持ちで作った楽曲なのでしょうか。

やなぎなぎ:自分の同人活動が何年か経ったときのお祝いとして書いた曲で、元々は自分のサイトにウェブアルバム(『Leonis』)という形で誰でも聴けるように公開したものだったんです(※1)。自分の音楽活動のテーマソングみたいな気持ちで作った曲ですね。これまでいろんな楽曲を歌わせていただいてきましたけど、自分のテーマはいつもここにある、という曲です。

ーーなるほど。今回のアルバムは、やなぎさんがこの10年間の活動で得た様々な経験と変化のみならず、いつまでも変わることのない大切な想いにも触れられる作品と言えそうですね。

やなぎなぎ:そうですね。もちろん技術的な部分や歌い方は日々変わっていくと思いますけど、やっぱり自分の創作意欲の原動はこの10年のなかでも変わることはなかったので、その「変わることはなかったよ」という自分の今の気持ちを、この10年目に置いておけたらいいなという思いがありました。20年目になったときにこの10年目を振り返って、「ああ、20年経っても変わってないな」と思うかもしれないですけど(笑)。

ーーそのご自身の創作の核となる部分、変わらない想いを、ひと言で表現するとしたら、どんな言葉になると思いますか?

やなぎなぎ:なんでしょう……ひと言で表すとしたら“ロマン”かな? 自分の中のロマンを追い求める旅と言いますか、自分自身でもわからないけど、とにかく自分が今求めているものを形にする、そんなロマンですかね。

ーー「Roundabout」の歌詞にも描かれている通り、この先も旅の道はどこまでも続いているんでしょうね。

やなぎなぎ:はい、行き止まりではないので(笑)。

※1:http://corleonis.info/leonis/leonis.html

■リリース情報
やなぎなぎ 10周年記念 セレクションアルバム -Roundabout-
2022年2月23日(水)発売
■あにばーさる完全限定盤[本編CD+特典CD+特典Blu-ray]¥9,900(税込)GNCT-0028
*各DISCに加えグッズ(オリジナルコインケース)を特注豪華BOXに収納
■初回限定盤[本編CD+特典CD]¥4,950(税込)GNCA-1608
*限定パッケージ仕様
■通常盤[本編CD]¥3,300(税込)GNCA-1609

(本編CD)
*ファン投票を基にこれまでの作品からセレクトした楽曲+新曲も加えた全16曲を収録
ビードロ模様
芽ぐみの雨
メルト10th ANNIVERSARY MIX
君という神話
三つ葉の結びめ
宝石の生まれるとき
未明の君と薄明の魔法
深遠
CorLeonis
オールトの夢
melee
Tachyon
飛べない魔法使い
恋文
終わりの世界から
タイトル未定(新曲)

(特典CD)
自身が楽曲提供した作品セルフカバー
behind [夏目美緒(cv.礒部花凜)、森川葉月(cv.芳野由奈)、小宮恵那(cv.Lynn)]
astro traveler [鈴木みのり]
PersonAll [この子]
Tiered [逢田梨香子]
※カッコはオリジナルアーティスト

(特典Blu-ray) やなぎなぎMV集*初Blu-ray化)
ビードロ模様
Ambivalentidea
ラテラリティ
Zoetrope
ユキトキ
アクアテラリウム
三つ葉の結びめ
トコハナ
Sweet Track
春擬き
オラリオン
カザキリ
ターミナル
瞑目の彼方
時間は窓の向こう側
over and over
here and there
夜明けの光をあつめながら
間遠い未来
無形のアウトライン
未明の君と薄明の魔法
芽ぐみの雨
アウトサイダー
エメラロタイプ
標火

【店舗別オリジナル特典】
◆対象商品:やなぎなぎ 10周年記念 セレクションアルバム - Roundabout-
 ※初回限定盤(GNCA-1608) ¥4,950(税込)
 ※[通常盤](GNCA-1609)は対象外

・アニメイト:特典CD・ライブ音源(color palette ~2021 Purple~より3曲収録予定)
・楽天ブックス:アクリルキーホルダー
・Amazon.co.jp:特典CD・ライブ音源(color palette ~2021 Purple~より3曲収録予定)
※【Amazon.co.jp限定】商品のみ対象

*特典は数に限りあり

■ライブ情報
『やなぎなぎ 10th Anniversary Special Live』
ビルボードライブ大阪(1日2回公演)
日程:2022/2/28(月)
時間
・1stステージ 開場 15:30 / 開演 16:30
・2ndステージ 開場 18:30 / 開演 19:30

料金
・サービスエリア¥8,000-
・カジュアルエリア¥8,000-(1ドリンク付き)
※飲食代は別途精算

[お問い合わせ] ビルボードライブ大阪: 06-6342-7722
〒530-0001大阪市北区梅田2丁目2番22号 ハービスPLAZA ENT B2

ビルボードライブ横浜(1日2回公演)
日程:2022/3/1(火)
時間:
・1stステージ 開場 15:30 / 開演 16:30
・2ndステージ 開場 15:30 / 開演 16:30
料金:
・サービスエリア¥8,000-
・カジュアルエリア¥8,000-(1ドリンク付き)
※飲食代は別途精算

[お問い合わせ] ビルボードライブ横浜: 0570-05-6565
〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通5丁目57番地2 KITANAKA BRICK&WHITE 1F

時間変更、払い戻しのご案内は下記をご確認ください。
http://yanaginagi.net/info/?p=4629

Billboard Live Official Web:http://www.billboard-live.com/

■やなぎなぎ Official Site
http://yanaginagi.net/


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