KREVAがステージで見せたラッパーとしての確固たる実力 念願の有観客開催、ZORN迎えた『908 FESTIVAL 2021+1』

KREVA『908 FESTIVAL 2021+1』初日レポ

 「次はKREVA!」とZORNがシャウトすると、「In the House」のイントロからKREVAのパフォーマンスへ。ヒップホップでよく使われる「〜が登場/〜が来た」という意味のスラング〈In The House〉をそのまま直訳の「家の中で」という意味に掛けたこの楽曲。コロナ禍で外出が制限されるフラストレーションを描きながらも、そんな苦境に一筋の希望の光を投げかけるようなメッセージが、やっと開催に辿り着けた有観客ライブの現場ではよりリアルで切実に響いた。「In the House」で提示された“希望”をより増幅させたのは、続く「変えられるのは未来だけ」。華やかなシンセサウンドに彩られた、あくまで未来だけを見据える希望に満ちたリリックは、KREVAからオーディエンスへ送られたエールのようだ。

 MCでは「何回も言って嘘くさく聞こえると嫌だけど、本当にありがとうございます」と繰り返し、「(オーディエンスが)ここにいてくれることが、俺たちの存在価値を証明してくれる」と改めて感謝の気持ちを表す。そして「楽しいのは保証済みなんですよ。だって日本のラッパーのワン、ツーが来ちゃってるわけですから」とKREVAらしい自信あふれるコメントをすると、自らとZORNについて「同じヒップホップでも、やっているものが全然違う。それでもお互いに良いと言い合えるのは、同じもの作りの熱量を持っている二人だからだと思う」と、その共通点をライブ冒頭にZORNと披露した「クラフト」のリリックになぞらえ紹介。「このライブから帰ったら他のラップが大体かっこ悪く聴こえます」と冗談を飛ばすと、「あながち嘘ではないかもしれない。2022年これが基準!」と宣言し、「基準 〜2019 Ver.〜」へ。マシンガンのような高速ラップを披露すると、日本のヒップホップをリードし続けるKREVAの確固たる実力を見せつけた。

 アグレッシブなパフォーマンス、高まったボルテージをそのままに、ヘヴィなギターサウンドにアレンジされた「Paradigm」では、KREVAのライブで定番の「Dr.K」の掛け声とともに、オーディエンスも「Dr.K」のハンドサインを掲げ、会場の一体感がみるみる高まっていく。続いて「よ ゆ う」「人生」「って」を披露すると、「徐々に状況は良くなっていくと思うけど、急には良くならないと思うので、少しずつ少しずつ進んでいきたいと思います」と語りかけ、躊躇や制限なくライブができる未来に思いを馳せた。

 そんな思いを受けた「All Right」ではミラーボールが登場し、「今夜はブギー・バック」(小沢健二 feat. スチャダラパー)を途中に挿入するなど、会場はパーティムードに。さらに盛り上げたのが「アグレッシ部」「音色 〜2019 Ver.〜」といったヒットチューン。この怒涛の流れに、歓声を上げることができず、一見静かに見えるオーディエンスの心にも確かに興奮の炎が燃えたぎるのをひしひしと感じた。そして、最後にZORNを再度招き入れ「タンポポ feat. ZORN」を披露すると、総立ちのオーディエンスの興奮は最高潮に達し、大団円のまま『908 FESTIVAL 2021+1』初日公演の幕を下ろした。

■アーカイブ/オンラインチケット情報
『908 FESTIVAL 2021+1』
●配信メディア
PIA LIVE STREAM
U-NEXT
Streaming+
●チケット
配信チケット料金:5,908円
●チケット購入
【PIA LIVE STREAM】https://w.pia.jp/t/908festival/
【U-NEXT】https://t.unext.jp/r/908fes
【Streaming+】https://eplus.jp/sf/streamingplus
●配信チケット販売期間
PIA LIVE STREAM:2月9日(水)12:00~2月27日(日)21:08
U-NEXT:2月9日(水)12:00~2月27日(日)19:08
Streaming+:2月20日(日)21:08~2月27日(日)
●見逃し配信期間
2月25日(金)9:08~2月27日(日)23:59
*再生開始時間に関しては各配信メディアにてご確認ください。

KREVA Official Site:https://www.kreva.biz/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる