新内眞衣が切り拓いてきた乃木坂46の新たな王道 ラジオパーソナリティとしての軌跡も存分に詰め込んだ卒業セレモニー
乃木坂46、2期生の新内眞衣のラストステージとなる『乃木坂46 新内眞衣 卒業セレモニー』が2月10日、東京国際フォーラム ホールAで開催された。昨年11月17日、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『乃木坂46のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)での卒業発表から約3カ月。その間には生田絵梨花の卒業公演や同期メンバー北野日奈子の卒業発表などもあったが、この日をもってグループを離れる新内にとっての“アイドル人生最後のステージ”は、6年間にわたり『オールナイトニッポン』のパーソナリティを務めた彼女らしい内容/構成で進行した。
同期メンバーの北野、鈴木絢音、山崎怜奈の影アナに続いて、スクリーンには2016年3月30日放送の『乃木坂46新内眞衣のオールナイトニッポン0(ZERO)』初回放送の様子や昨年の卒業発表時の映像が映し出される。公演前夜の放送をもって『オールナイトニッポン』を卒業したばかりの新内の軌跡を、自身のナレーションとともに振り返る構成も、いかに彼女にとってラジオでの活動が重要だったかが伝わるものだった。そこから「Overture」へとつなぐと、ニッポン放送がある有楽町からライブ会場の東京国際フォーラムまで走る新内の姿に切り替わる。この会場がラストステージの場に選ばれたのも、OL兼任時代にニッポン放送の関連会社で働き、また毎週のようにニッポン放送での生放送に通った彼女の強い思いが伝わる。
1曲目に選ばれたのは、アンダー楽曲「生まれたままで」。新内が初めて正規メンバーとしてレコーディングに参加した、いわば“乃木坂46・新内眞衣”のデビュー曲だ。しかも、この記念碑的1曲を当時の衣装で、1期生と2期生のみ、かつ新内センターでパフォーマンスする光景は、初期から彼女を応援してきたファンにとっては感慨深いものがあるはずだ。優しく温かな笑顔で新内を囲むメンバーの姿からは、雪が舞うこの日の東京の寒空を忘れさせてくれるものがある。
1曲披露し終えると、ステージに新内ひとりを残してMCに突入。「(乃木坂に)入ったばかりのときは、こんな素敵な会場で自分の卒業セレモニーを行えると思っていなかったので、緊張しています」と話す彼女は、続けて「アイドルの新内眞衣を見られるのは今日で最後なので、ぜひ楽しんで帰ってください」と会場の観客やネット配信で見届けるファンに向けてメッセージを送る。その後、「生まれたままで」のオリジナルメンバーである齋藤飛鳥、星野みなみを交えて当時の思い出を振り返るトークパートへ。同曲のMV撮影がこの日と同じ雪だったこと、初めて会ってから打ち解けるまでが早かったことなど、和やかな空気で3人のやり取りが繰り広げられる。穏やかなトーンで進行する新内のトークは、まさに『オールナイトニッポン』の延長線上にあるもので、このあたりで通常のライブとは異なりトークの比重が高めになることが理解できたことだろう。
その後、後輩について新内が語る映像パートに続いて、彼女は「トキトキメキメキ」と「Out of the blue」をそれぞれ3期生、4期生とともにパフォーマンス。深紅の衣装に着替えた新内が、頼もしさに満ち溢れた後輩たちと楽しそうに楽曲を披露する姿からは、改めて彼女のグループ愛が伝わる。こういう形で思い出を共有できたことは、後輩たちにとっても今後の活力につながったのではないだろうか。パフォーマンス後には3期生の久保史緒里と阪口珠美、4期生の賀喜遥香と早川聖来を交えてトークパートへ移行。後輩メンバーの楽曲でセンターに立った新内は、「3、4期楽曲は本当にやっていて楽しいし、2期生にはない色。期別によって楽曲の色に違いがあるのも乃木坂46の魅力」と口にした。また、この日のライブを欠席した「トキトキメキメキ」のセンター・岩本蓮加が「私も(新内と)一緒に踊りたいので、私の夢に出てきてください」と久保に伝言していたことも告げられる。さらに新内は『乃木坂46のオールナイトニッポン』のパーソナリティを引き継いだ久保に向けて「6年やっても伸び代があることを示せたのかな(笑)」と告げ、会場の笑いを誘った。
イベント中盤では、『乃木坂46のオールナイトニッポン』の名物コーナーのひとつ「新内眞衣 妄想結婚式」をステージで実演することに。ここでは司会進行として、元ニッポン放送の上柳昌彦アナウンサーが正装で登場。新内にとってはラジオパーソナリティの大先輩であると同時に、OL時代に同じ会社に所属していた心許せる存在でもある上柳との共演も、非常に彼女らしいものと言える。上柳は前夜の生放送での挨拶について、「言葉の紡ぎ方がすごく良くて」と触れつつ、「だからといって、次の日にこれをやらなくてもいいんじゃないか(笑)」と冗談を言う一幕もあった。
このブロックではメンバーの秋元真夏、樋口日奈、北野、梅澤美波、久保、佐藤楓、山下美月、与田祐希、金川紗耶、清宮レイ、早川が新内の披露宴に出席した体で、『オールナイトニッポン』リスナーから募った架空の“乾杯の挨拶”を次々に読み上げていく。「世代的にも結婚披露宴にはもう8件くらい参加。今日が9件目になります(笑)」(秋元)、「あんなに小さかったまいちゅんが、今ではこんなに大きくなって」(北野)とメンバーもノリノリの様子だ。そして、乃木坂カラーの紫をあしらったウエディングドレスにお色直しをした新内を前に、佐藤や与田、北野、秋元がそれぞれ乾杯の挨拶としてリスナーのネタメールを読み上げ爆笑をさらう。メンバーと上柳、そして番組リスナーと作り上げる時間をラストステージに用意したあたりも、いかにも新内らしい思いのこもった演出だ。最後には「自分の披露宴の余興では、メンバーに『インフルエンサー』を踊ってほしくて」とムチャ振りし、「インフルエンサー」を披露するサプライズもあり、予定していた時間をオーバーするほどの盛り上がりを見せた。