Spotify『RADAR: Early Noise』の5年間にみる、優れたレコメンド力 秋山璃月、菅原圭、WurtS……2022年選出10組にも期待
そして1月18日、2022年の『RADAR: Early Noise』10組が発表された。
TOKYO FM主催の『未確認フェスティバル2017』でグランプリを獲得した秋山璃月は、少年性と危うさを持つクリーンなハイトーンボイスが印象的。現時点での代表曲「勝手な彼女」は、どこかファニーさを感じる軽やかなポップソングだ。2月6日には『Early Noise 2022』の特集が組まれる『Love music』(フジテレビ系)でのパフォーマンスも決定している。
aoは現在15歳。小学6年生で参加したオーディションで早くも注目を集めたという早熟のシンガーソングライターだ。「Tag」は弾き語りの気配も纏わせながら、ESME MORIによる複雑なアレンジを乗りこなす洗練された歌唱にきっと驚くはず。
セルフプロデュースに長けた俊英たちも多い。WurtSは研究者×音楽家を名乗る正体不明のソロアーティスト。ゼロ年代ギターロックをダンスビートと共に復権させたサウンドとストーリー性で魅せるMVのクロスオーバーが話題だ。
tonunは作詞作曲トラックメイクを全て手掛け、メロウで洒脱なポップソングをハイペースで量産中。甘い歌声も耳に残り、令和のR&Bを代表するシンガーになるかもしれない。
すでに海外のリスナーから注目をされており、グローバルな活躍が期待できるバンドもいる。ego apartmentは2021年結成の3ピースバンド。タイプの異なるツインボーカルと打ち込みも生音も交えたスタイリッシュな音像はルーツも様々な3人だからこそデザインできたものだろう。
CVLTEは札幌発の4ピースバンド。ハードコアを軸としながら、ボイスエフェクトを効かせたボーカル、シンセサイザーが駆け巡る情報量の多いサウンドは近年台頭してきたハイパーポップのような興奮をくれる。
近年のトレンドの系譜にあるアーティストにも注目だ。菅原圭はAdoやyamaと同じく歌い手出身の新鋭。しなやかさと艶を併せ持つ劇的な歌声は一度聴くと忘れられない。自身で作詞作曲もこなすスキルもあり、歌い手としての新天地を切り拓いている。
ヒップホップのフィールドからは2人組ユニットBleecker Chromeが選出。NYで武者修行を積んだオートチューンラップとメロディアスなフロウは都市の音楽として幅広い層に刺さるはずだ。
Bialystocksはボーカルの甫木元空が監督した映画の生演奏上映のために結成されたという異色の経緯を持つ。ジャズとフォークを基軸としたジャンルレスなサウンドとともに、映画作家らしい映像的な詩を堪能できる。
Penthouseは東大音楽サークルのOBで結成されたシティソウルバンド。ピアノを担当する角野隼斗は国際ピアノコンクールでの入選実績もある技巧派。力強い男女混声を支える華やかなプレイを楽しめるはずだ。
プロジェクト始動から5年を経た今年はこれまで以上にバリエーション豊かなニューカマーたちが出揃った。彼らがこの年末、どこまで広がりを見せているか、期待は計り知れない。