「YONA YONA DANCE」「ヨワネハキ」……『TikTok流行語大賞』ノミネートからわかる流行と傾向
2021年の『TikTok流行語大賞』のノミネートワードが発表された。
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全部知ってたら #TikTok マスター😎✨— TikTok Japan【公式】ティックトック (@tiktok_japan) November 19, 2021
昨年に引き続き、音楽シーンに大きな影響をもたらしたTikTok。ノミネートワードにも、「ヨワネハキ」や「YONA YONA DANCE」「分かってないよ」など、今年話題になった楽曲名が多く選出された。
TikTokが若い世代を中心に流行した2018年頃は、音楽に合わせたリップシンクやダンス動画によって盛り上がっていた。当初は限られた層が楽しむ場となっていたが、2020年になるとユーザーの幅は一気に拡大。楽曲がヒットするきっかけとなる動画も生まれ、瑛人「香水」をはじめ多くの曲がお茶の間まで広がった。そして2021年、それまで一過性のブームという雰囲気が漂っていたTikTokはユーザーの日常にすっかり馴染んでいる。これによって、TikTok全体の動画の傾向にも変化が表れたようだ。
かつてTikTokの動画は、TikTokで公開しているというだけでコンテンツとして機能していた。それほど当時は新鮮なものとして受け入れられたが、流行りものとしての盛り上がりも落ち着き、日常的なものとして定着した今、短い動画にいかに内容を付随させるかということが模索されるようになった。
その結果、知識や雑学を共有する“TikTok教室”、気になることを実験、検証する“TikTok検証”など、教育系と呼ばれる動画が増加した。また投稿者も、ユーザーが増えプラットフォームとして賑わうTikTokを有効活用しようという動きが年々増している。具体的には、ニュース番組のTikTok進出や、アーティストのプロモーションの場としての活用などだ。
和田アキ子が9月に配信リリースした「YONA YONA DANCE」は、フレデリックがプロデュースしたダンサブルなトラックと和田のソウルフルな歌声から、その組み合わせの意外性もありTikTok内外で注目を集めた。なえなのやさまぁ~ず、DELIVAといった多くのタレントと和田自身が一緒に踊っている動画が挙がるたび、人気はさらに加速。TikTok発のヒットを目指すのではなく、元々話題性を持っている楽曲をTikTokで盛り上げるという動きは、プロモーションも兼ねながら多くの層に届ける手段としてTikTokが機能できるようになった証左だろう。
また“#TikTok教室”のタグが付けられた動画には、あるあるネタやランキング、雑学などを字幕のように出し、その後ろで曲を流しながら踊るという形式のものが増加している。「YONA YONA DANCE」のように簡単な振りは、TikTokの中でフォーマット化したそのような動画に応用しやすいのだろう。さらに、TikTok発のヒット曲は歌詞が口語であるものが多いことも、“リップシンクと踊り+動画の本題”で構成する形式とマッチする。
サビの語尾が〈ます〉のMAISONdes「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」や〈いつも思うけどめちゃくちゃ私の彼、狙ってて草〉と歌うなかねかなの「モテすぎて草、誘ってて森」、さらにTikTokに限らず一年中話題を欠かなかったAdoは〈うっせぇわ〉〈あなたが思うより健康です〉(「うっせぇわ」)と歌う。そのまま投稿者の言葉にもなりうるような歌詞は、聴覚を通して動画の内容に没入するきっかけとなっているのかもしれない。