um-humが『steteco』で目指したポップとアンダーグラウンドの黄金比 激動の1年でバンドに起こった変化

um-humが『steteco』で目指したもの

um-humが生み出す“きれいな混沌”

――他の収録曲についても聞きたいのですが、MVも作られた「Windowz」に関してはどうですか?

um-hum - Windowz [Official Music Video]

ろん:制作の終盤に「エイムズ」ができて、いざミニアルバムを組んだときにもう1曲欲しいなと思って作ったのが「Windowz」で。僕は今作の中で「1コマ」が一番好きなんですけど、リード曲という意味ではちょっと弱いかなと内心思っていたときに、たけひろが「もっとシンプルでノリやすい曲を作ってほしい」と言い出して。それでデモを投げたらみんなが秒で作ってくれて、リズム隊はほぼスタジオセッションみたいな感じでした。僕は一発目に合わせたときの感触が良かったらだいだいそれを採用するので、そこから一気にレコーディングに持っていって。

――「生生世世」(しょうじょうせぜ)は、メロディに乗せるというよりはラップ調のパートが多いですね。

小田:“ラップっぽい”、それが一番難しいんです(笑)。

ろん:um-humはサビで“ラララ”と歌うようなことをやってこなかったので、それを試してみたかったのと、あとはいかに覚えやすいメロディにできるのか。この曲は3~4音ぐらいの繰り返しでできているんです。個人的には、2回目の平歌(=メロディの頭からサビ前までの部分)の歌詞のハマり具合が気に入っています。

――〈音と音と一昨日の事と〉というフレーズもいいですね。

小田:そのフレーズは、私が中学3年生ぐらいのときに初めて打ち込みで作った曲の歌詞の一部なんです。um-humに自分の過去の言葉を入れられたのは良かったなと。

――乃愛さんは小学6年生から歌詞を書いていて、300曲以上のストックがあると言っていましたもんね。ただ、ここまでは比較的ポップな印象の作品だったのに、「生生世世」のアウトロから不穏な空気が……やっぱりこのまま終わらないんですね、um-humは(笑)。

小田:一周回って母国を思い出したので(笑)。

ろん:帰ってきました(笑)。そこに関しては完全に『[2O2O]』の名残りですね。

――最後の2曲の「N.D.S」「貴方物質に生命与えて」は今までとは打って変わって、ろんれのんのディープな世界へ。

ろん:言ってしまえば、『steteco』の本編は6曲目の「生生世世」までなんです。「生生世世」のアウトロでドラムにエコーをかけて、わちゃわちゃでフェードアウトしていくんですけど、そこでum-humの混沌は1回終わるんですよ。そこからは完全に僕のエゴというか、前作のようにちゃんと構築していたら、この2曲は入れていないですね。「N.D.S」は割と早めのタイミングで作っていた曲で、その頃にHiatus Kaiyoteの『Choose Your Weapon』が好きでよく聴いていたんですけど、R&Bに民族音楽っぽい音が入っているところをum-humと融合させたいなと。どちらかと言うと聴きやすかった1~6曲目の流れから、一気に入り込ませたくて作った曲ですね。リズム隊の2人は混乱していましたけど(笑)。

――そして「貴方物質に生命与えて」は、バンドであることすら全部飛び越えて、ろんれのんのソロアルバムに近い感覚がありました。一切告知もせず、いつの間にかリリースされていた『誰も知らない、誰にも知られたくない』に(笑)。

ろん:フフフ(笑)。去年、僕はフォークにハマっていて。ソロに関しては、1年前ぐらいに(小田から)「作品があるなら世に出した方がいい」と言われたのが大きくて。その言葉は僕しか覚えていないと思うんですけど。

小田:そんなことを言いつつ、最初はこの2曲も私が歌う予定だったんですよ。でも、あまりにも世界が変わっちゃうから、「これはもう、ろんが歌え!」ってパスしました(笑)。

ろん:ミニアルバムの最後の2曲って、(サブスク全盛の)ご時世的にも聴かれないことが多いと思っていて。だからこそ、こういう配置にしたんです。あくまで付録と言うと言い方は悪いかもしれないですけど、『[2O2O]』しかり、ミニアルバムに関してはそういう構造にしたかったので。

――最後の2曲までたどり着いた人は、um-hum沼により深くハマれるかもしれませんね。

ろん:“?”で終わったら、次が気になるかなと思って。その答えは次の作品で分かると思います。『steteco』はあくまでバカンスなので、伏線的なミニアルバムなんですよね。

――ちなみに、『steteco』の裏のコンセプトは何だったんですか?

ろん:ステテコ=物でも人でも何でも……という(笑)。

――人生の断捨離ですね(笑)。『steteco』が完成したときはどう思いました?

ろん:やっぱり混沌が見え隠れするのはすごくいいなと思います。『[2O2O]』を経てわかったボーカルの音域を意識して作れたし。まぁ……当然、限界もあるので。

小田:「凡能」とか「凡能」とか「凡能」とか! サビ頭の〈ただ退屈な〉のところは、マジで火を吹きながら歌いました(笑)。あそこは気持ちで挑んだなぁ……。

ろん:今は作品を出すたびに得るものがあって、それが冒険っぽくて楽しいなと思っているんです。次は『steteco』と『[2O2O]』をブレンドさせた、きれいな混沌を作りたい。ライブでやっていてまだリリースしていない曲も多いし、プラス今年得るものも入れて、ズシッとした「これがum-humのベスト。確立しました!」みたいな作品を早く出したいですね。

小田:今年のum-humはめちゃくちゃ進化すると思うので。これからも最上級を目指していきたいです!

『steteco』
『steteco』

■リリース情報
um-hum 2nd mini Album『steteco』
<収録曲>
M1エイムズ
M2 meme
M3 Windowz
M4 凡能
M5 1コマ
M6 生々世々
M7 N.D.S
M8 貴方物質に生命与えて

steteco配信URL:https://nex-tone.link/A00094913

■ライブ情報
※全てイベントです。

2022年2月3日@心斎橋JANUS
Open/Start 18:00/18:30
前売り¥2,800
um-hum/pachae/Klang Ruler/Chapman

2022年2月15日@名古屋club upset
Open/Start 18:30/19:00
前売り¥2,500
um-hum/アサノコロモ/SHIROI ATERIR./Mellow Youth

2022年2月22日@札幌PLAMT
Open/Start 18:00/18:30
前売り¥2,400+1drink
um-hum/No.18/The Cynical Store/Nawate Harutaka

■関連リンク
オフィシャルサイト:https://www.um-hum.jp/
Twitter:https://twitter.com/um__hum
Instagram:https://www.instagram.com/um__hum/?hl=ja
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC5FzCbqYlJbRGHFoqGToedA
TikTok:https://vt.tiktok.com/ZSJKvhEYq/

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