Machico、寺島拓篤、花澤香菜……10周年迎える声優アーティストたちの動向

 今の世の中、声優が音楽を軸としてアーティスト活動を行うのは当たり前。例外はあるにしろ、その生まれ持った、またはしっかりとスキルを高めて得た声を生かす場として音楽を選択することは、むしろエンターテインメント全体を豊かにする意味も含んでいる。そして、そのキャリアを通して生み出してきた楽曲たちは新たな魅力として、その後の声優活動にも生かされていくはずだ。本稿では、2022年に10周年を迎える声優アーティストについて注目し、その活躍をまとめながら、それぞれのさらなる飛躍の可能性についても考えていく。

 『ウマ娘 プリティーダービー』(TOKYO MXほか)でのトウカイテイオー役をはじめ、数々のアニメ/ゲーム作品に参加するMachicoは、2012年5月リリースのシングル『Magical Happy Show!』でアーティストデビュー。2022年は10周年イヤーということで、すでに初のベスト盤制作(今年春リリース予定)、記念ライブ『Machico 10th Anniversary Live ~Trajectory~』の開催がアナウンスされている。1月12日にはアニメ『幻想三國誌 天元霊心記』(BS12)のオープニングテーマ「ENISHI」を表題に冠したニューシングルを発売したばかりで、以降も続々と動きがありそうだ。

Machico / ENISHI (TVアニメ「幻想三國誌 天元霊心記」オープニング・テーマ)

 そんなMachicoは「プロの世界の厳しさに触れてからは実力不足を感じたり、悩みが多かった」(※1)と、この10年を振り返る。またターニングポイントとなった楽曲として2016年リリースの「fantastic dreamer」を挙げ(※2)、同楽曲がオープニングテーマとなったアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』(TOKYO MXほか)と合わせて曲が多くの人へ届いていく過程が印象深かったという。最新曲「ENISHI」での力強くも切なさを纏ったボーカルはもちろん、『トロピカル~ジュ!プリキュア』(テレビ朝日系)のオープニングを飾った「Viva! Spark!トロピカル~ジュ!プリキュア」で見せた勇気と元気を与える歌い方まで、10年という歳月の中で得た表現は多岐にわたる。10年を通過点に、さらに活躍の場を拡げていくであろうこれからのMachicoに期待したい。

 声優の寺島拓篤も今年6月にアーティストデビューから10年を迎える。『創聖のアクエリオン』(テレビ東京系)の主人公・アポロ役、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%』(TOKYO MXほか)の一十木音也役など声優としての活動と並行しつつ、2012年6月にアルバム『NEW GAME』でデビュー。そもそもゲームやアニメが好きな寺島自身かなりクリエイティブな人物で、『NEW GAME』も全曲作詞を担当。楽曲提供のため参加した面々も森久保祥太郎、前山田健一(ヒャダイン)、西岡和哉、R・O・Nと豪華な名前が並んでおり、そのラインナップからも本気度が伝わってくる。

[Official Video] Terashima Takuma - Architect - 寺島拓篤

 膨大な彼の音楽カタログの中でも特に印象的なのは、アニメ『転生したらスライムだった件』(TOKYO MXほか)第1期オープニングテーマとして人気を博した「Nameless Story」ではないだろうか。同アニメの音楽も手がける上松範康(Elements Garden)が作曲したテクニカルなナンバーは、音域の広い寺島だからこそ乗りこなせるもので、BPMの速さや転調の多さも見事にコントロールしている。

寺島拓篤 / 8thシングル「Nameless Story」Music Clip Short ver.

 すでに5月11月には、10周年を記念したベストアルバム『LAYERING』の発売が決定している寺島。このほかにも10年の歩みを総括するようなアクションはあるようだが、ベスト盤然り、きっと全ファンが満足するものを用意しているはずだ。

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