King Gnu、強靭なグルーヴを生み出すリズム隊に注目 プレイヤビリティ溢れる仲間たちが起こすバンドマジック

 King Gnuの勢いが止まらない。昨年12月29日にリリースされたシングル『一途/逆夢』は、オリコン週間シングルランキングで1位を獲得。各ストリーミングのチャートでも上位を占め続けている。年末の地上波音楽番組への連日の出演も印象的で、そうしたテレビ露出は、もともとのリスナー以外の層にも確実に大きなインパクトを与えたはずだ。何より、そうした数々のパフォーマンスを観て、彼らのライブバンドとしての実力に圧倒された人、再認識した人は多いと思う。そして言うまでもなく、メンバーそれぞれの類稀なスキルや知識は楽曲制作にも存分に活かされている。ロック、パンク、ジャズ、ファンク、エレクトロをはじめとする数々のジャンルを軽やかに往来していくスタイルは非常に先鋭的でありながら、同時に、King Gnuの音楽は、J-POPシーンのど真ん中で堂々と響き得るポップネスを秘めている。その唯一無二とも言えるミクスチャーサウンドに触れる度に、改めてこのバンドの総体的なポテンシャルの高さに驚かされる。King Gnuの音楽性について語る上では数多くの切り口があるが、今回は、リズム隊を務める新井和輝、勢喜遊の2人にフォーカスしながら、このバンドの独自性に迫っていきたい。

King Gnu – 一途

 まず、ベースを担当する新井和輝について。ジャズとの出会いをきっかけとしてブラックミュージックに傾倒し、10代からジャズファンクのシーンを中心に活動を始めた彼だが、そうした音楽に限らず、ロックやパンクをはじめとした幅広いジャンルにも精通していることは、King Gnuの活動を見れば明らかだ。現在は、King Gnu、millennium paradeを中心に活動しながら、様々なアーティストの活動をサポートしている。直近では、佐瀬悠輔によるSASE BANDや、君島大空(合奏形態)のライブに参加。そして、常田大希が作詞作曲を手掛けたSixTONES「マスカラ」、絢香「キンモクセイ」、佐藤千亜妃の「Who Am I」や「声」、甲田まひる「California」をはじめ、数々のレコーディングにも参加している。息を吸って吐くように様々な音楽ジャンルを取り込み、自身のルーツと組み合わせながら、その時々のシチュエーションに合わせて求められるプレイやフレーズを的確にアウトプットしていく。その柔軟性と瞬発力は本当に凄い。

絢香 / キンモクセイ Music Video (2.1発売アルバム「LOVE CYCLE」収録)
佐藤千亜妃 – Who Am I(Music Video)

 続いて、ドラムを担当する勢喜遊について。ミュージシャンの両親のもとに生まれ、幼少期から電子ドラムに慣れ親しんでいたという彼は、上京後、様々なセッションに参加しながらドラマーとしての経験を積み重ねてきた。常田たちとの出会いをきっかけにKing Gnuに加入し、近年では、ermhoi & Ayatake Ezakiが手掛けた映画『ホムンクルス』のサウンドトラック曲の1つ「Nightmare Queen」や、Nao Kawamura「Power」、新井と共にリズム隊を担った甲田まひる「California」のレコーディングや、ODD Foot Worksのライブなど、サポート活動も非常に充実している。King Gnu「一途」における超高速の痛快なビートを轟かせるロックなプレイから、「Nightmare Queen」における歌に優しく寄り添うフォーキーなプレイ、さらにはmillennium paradeのライブにおける即興にも通じるようなプレイまで、その振れ幅は非常に広く、彼が備える音楽的教養とスキルの高さに圧倒される。なお、強烈なビートを求める常田の要請により、King Gnuの制作やライブにおいては、ドラムとサンプラーの両方を駆使するスタイルが基本となっている。

甲田まひる(Mahiru Coda) – California 
Nao Kawamura – Power (Lyric Video)

 では、新井と勢喜がリズム隊を務めるKing Gnuとは、改めてどのようなバンドなのか。先に結論から書いてしまえば、2人がリミッターを解除して、それぞれのスキルやアイデアを存分に活かすことのできる場が、King Gnu(および、millennium parade)であり、各々のプレイヤビリティが混沌の中でぶつかり合うからこそ、このバンド独自の唯一無二なミクスチャーサウンドが生まれ得るのだと思う。



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