2021年『紅白歌合戦』は歴史的な転換点になるか コロナ禍以降推し進める“未来志向”の行方

2021年『紅白歌合戦』は歴史的な転換点になるか

 さて、一昨年からのコロナ禍が続くなかで放送された今回の「紅白」は、一言で言えば“未来志向”の「紅白」だった。

 それを象徴するワードが、今回のテーマとして掲げられた「Colorful~カラフル~」である。そこには、コロナ禍でいまだ苦しむ世の中に彩りを、という願いとともに、「多様な価値観を認め合おう」という思いが込められている。番組中も、何度も「カラフル」という言葉が繰り返されていた。

 またそのテーマを反映するように、今回は「紅組司会」や「白組司会」という呼びかたをやめ、すべて「司会」に統一された。同時に番組のロゴマークも、「紅」と「白」を明確に分けるのではなく、そのあいだにグラデーションがあるものに変わった。

 この方向性を突き詰めれば、当然男女対抗という第1回の「紅白」から変わらない伝統をどうするか、という難しい問いに行き着くだろう。ただ、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる世の中の意識も多様化しつつある現在、いよいよ「紅白」もそのことを再考すべきタイミングに来ているようにも思える。今回の番組全体からも、その機運は伝わってきた。どのように時代に合わせて番組をアップデートさせていくのか、これからの「紅白」に注目したい。

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