UVERworld、魂の叫びが生み出す壮大な景色 音と言葉で生き様をぶつけた『TAKUYA∞生誕祭』
ラストに披露されたのは、『30』の収録曲「One stroke for freedom」であった。〈ライブハウス客がゼロなんてざらだった/今じゃ何万人もがチケット取り合う中歌った〉という一節が象徴的だが、この楽曲は、昨年に結成20周年を迎えたUVERworldの歴史そのものである。そして、この曲は単に過去を振り返るだけではなく、これから先に待つ想像もできない未来を見据えているように思う。〈今愛してくれてる人にもっと深く愛されるだけで良い/でも その生き方貫けば/何も思ってくれなかった人たちにも愛されちゃうかもな〉というパンチラインが特に強烈で、あの日あの時、満員の横浜アリーナを満たしていた熱気は、今はまだ出会えていない未来のリスナーへ確実に伝播していくと思う。
今回のライブを通して確信したこと。それは、ついにリリースされた最新作『30』は、これまでの全ての歩みが結実した記念すべき作品である、ということだ。TAKUYA∞が紡ぐ言葉は、明らかに強度と洗練さを増しており、同時に、これまでの果敢な音楽的挑戦の数々は、もはや既存のジャンルにはカテゴライズできないほど、唯一無二の形で花開いている。そして、もう一つ確信したのは、これまでのUVERworldの楽曲がそうであったように、『30』の楽曲たちも、ライブというリアルなコミュケーションの場を通すことで初めて完成するということだ。少なくとも僕は、音源を聴いた時以上に、深くメッセージが刺さったし、そのサウンドに強く心を震わせられた。今回生まれた新曲たちは、これからライブを重ねるごとにさらに幾度となく進化を繰り返していくことは間違いないだろう。UVERworldは常に変わり続けるバンドであり、だからこそ2022年も、その進化の歴史を追い続けていきたい。