UVERworld×山田孝之、スカパラ×ムロツヨシ、GReeeeN×明石家さんま……シーンの垣根を超えたコラボに注目
音楽と映画。ステージとスクリーン。こうした主戦場の違いを超えたコラボレーションは、それぞれのシーンの間の壁を無化して、ポップカルチャー全体を席巻するトピックスとなることが多い。例えば最近では、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の主演を務めた松たか子が歌唱として、そして、元夫役を演じた松田龍平、岡田将生、角田晃広(東京03)がラップ/コーラスとして参加し、STUTSが作編曲・楽曲プロデュースした主題歌「Presence」が大きな注目を集めた。また、菅田将暉のように、俳優として活動しながら本格的に音楽活動を始めるケースも増えている。
そして俳優だけでなく、お笑い芸人をはじめとするタレントとミュージシャンのコラボレーションも多い。振り返ってみると、浜田雅功と槇原敬之の「チキンライス」(作詞:松本人志)などのヒット曲も多数生まれている。また、先述したように『大豆田とわ子と三人の元夫』のコラボレーションには、元夫の一人を演じた東京03・角田も参加していた。
もちろん中には、とても意外性の高いコラボレーションもあるが、筆者は、ミュージシャン、俳優、お笑い芸人は、それぞれの表現活動の場こそ異なれど、“表現者”という揺るぎない共通点があると思っている。音を通して伝えるか、演技を通して伝えるか。もしくは、コントや漫才、バラエティ番組のトークを通して伝えるか。そうした違いはあっても、彼ら・彼女らは、受け手の感情を動かすメッセージの届け手であることに変わりはないはずだ。
例えば、山田孝之は、2017年に、フジファブリックの楽曲「カンヌの休日 feat. 山田孝之」に参加、また2019年には、綾野剛、内田朝陽と共にバンド・THE XXXXXXを結成している。このように彼は、俳優業と並行して音楽活動を行い、さらに言えば、“ロック”とのシンパシーを強く感じさせる活動を積み重ねてきた。そして先日、UVERworldの横浜アリーナ公演に山田孝之がサプライズ出演を果たし、 バンドの新曲「来鳥江」 にゲストボーカリストとして参加することが発表された。俳優活動と音楽活動、そうした数々の“表現者”としての活動を通して、ほとばしる“ロック”のバイブスを感じさせてきた彼が、UVERworldとタッグを組むことは全く不思議ではないし、むしろこのコラボレーションは、今まさに、次のアルバムへ向けて“ロック”モードを全開にしているUVERworldにとって、とてもポジティブな刺激を与えているはずだ。
続いて、5月にリリースされた東京スカパラダイスオーケストラ(以下、スカパラ)の新曲「めでたしソング feat. ムロツヨシ」。もはや説明不要かもしれないが、これまでスカパラは、奥田民生(ユニコーン)、桜井和寿(Mr.Children)、宮本浩次(エレファントカシマシ)、川上洋平([Alexandros])、aikoなど、数々のアーティストとのコラボレーションを実現してきた。このように音楽性や世代の壁を“越境”してきた彼らだからこそ、普段は音楽活動を生業としていない人たちとコラボレーションすることは、自然の流れとも思える(実際にこれまでにも、白石麻衣、高橋一生、さかなクンなどとCMの企画を通してコラボレーションしている)。
今回のコラボレーションは、かねてより「いつか自分の舞台のテーマ曲をスカパラさんに手掛けてもらうのが夢です!」と打ち明けていたムロツヨシの熱いラブコールに、スカパラが応える形で実現したもの。ミュージックビデオでは、飄々と黒子を演じているムロツヨシが、終盤、満を持してスカパラメンバーとお揃いのスーツを纏うシーンは、見ていて思わず胸が熱くなる。また、たとえ相手が誰であろうとも、愛と敬意をもって全力でぶつかりながら、最後には優しく包み込んでしまうスカパラの懐の深さには、改めて驚かされる。