KEYTALK、dustbox、TOTALFAT、FOMAREが見せたライブバンドの魂 『REDLINE TOUR 2021 WINTER』で爆発した個性

『REDLINE TOUR 2021 WINTER』レポート

 JMS主催により2010年から開催されているライブイベント『REDLINE』のツアー『REDLINE TOUR 2021 WINTER supported by M』が、12月8日にZepp DiverCity(Tokyo)からスタートした。これまでも個性的なミュージシャンやバンドが多数出演してきた同イベントだが、今回はdustbox、TOTALFAT、KEYTALK、FOMAREというライブハウスを拠点に活動を続けてきた実力派たちが集結。ロック/パンク/メロコアをベースとした楽曲性という共通点はありながらも全く異なる世界観を有した4バンド、しかも東京、大阪、名古屋を巡る対バンツアーということで、初日となったこの日は平日にも関わらず、フロアはオーディエンスの熱気に満たされていた。

 最初に登場したのは、4組の中では最年少のFOMARE。暗転した舞台の上に駆け込んできた3人は顔を見合わせ、「FOMAREが全部持っていきます、よろしくお願いします!」という、アマダシンスケ(Vo/Ba)による先輩たちへの宣戦布告ともとれる力強い宣言とともに一斉に音を鳴らし始める。MCもそこそこに、感情を爆発させる楽器隊、そして優しさと切なさが隣り合うような独特な響きを持つアマダのハスキーボイスが畳み掛けられる。しかし彼らのパフォーマンスは決して乱暴ではなく、豊かな表現力と「この日を迎えられて嬉しい」という純粋すぎるほどの喜びを湛えていた。さらに、この日は静かな冬の夜を想起させる新曲「雪あかり」まで披露。対バンという初見のオーディエンスもいるのが当たり前のイベントでいきなり新曲を投下し、歌と音だけで情景を想像させてしまうその底力からは、3人が持つ自分たちの音楽への確固たる自信が感じられた。

 そんな頼もしい後輩の活躍を見届け、2番目に登場したのはTOTALFAT。「意外と初参加」とのShun(Vo/Ba)の言葉の通り、ずっと以前から『REDLINE』のステージに立ち続けていたのではないかと思ってしまうほどの安定感ある盛り上げ上手っぷりで、一撃でオーディエンスの心を鷲掴みにしてしまう。爆撃機のようなドラム、そしてボーカルふたりによる伸びやかな掛け合いやパワフルなユニゾンからは圧倒的な演奏力とカリスマ性を感じさせつつも、フロアとどんどん距離を詰めていくような茶目っ気をも同時に漂わせていた。Shunの「心のモッシュピット、みんな持ってきてる!?」の呼びかけとともにぶちかまされた彼らのパフォーマンスからは、モッシュやダイブが叶わなくともライブは楽しいものに変わりないのだというライブバンドとしての心意気を強く感じる。「晴天」で無言のコールアンドレスポンスを浴びる3人の勇姿は、未来のライブハウスシーンを守るヒーローのように眩かった。

 冒頭の「Riot」から無数の手がフロアから伸ばされ、ボルテージを最高潮へ導いたdustboxは、タイトかつファニーな演奏で魅せる。TOTALFATと交流も深い彼らが引き継いだフロアの狂熱は、「みんなも心の中で一緒に歌ってくれ!」と叫ぶSUGA(Vo/Gt)の声に導かれるようにしてさらに高まっていく。時に痛快に、時に凶悪なまでに鳴らされる爆音は、しかし身を委ねていると不思議なほど心地よく、オーディエンスへの思いやりに満ちた、ストイックなまでに作り込まれた音であることがよくわかる。「Jupiter」で、暗闇のなかに響き渡るSUGAの優しくも力強い少年のような歌声は、そんなdustboxのバンドとしての在り方を象徴しているようで美しかった。

 パフォーマンスの合間には、今回の対バンのきっかけとなったJMSのYouTubeチャンネル「STAY FREE」でのキャンプ企画についての話題に触れたり、“TOTALFATごっこ”に興じたりと、対バン相手の3組との良い関係性を垣間見せる一幕も。そんななか、なんとパフォーマンスの最後にはTOTALFAT本人が乱入。JOJI(Ba/Vo)のベースをShunが奪い取り、JOJIがスクリームを聴かせるなど、2組はまるでタイマン勝負のようにアグレッシブなパフォーマンスを繰り広げて舞台を去った。

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