新譜連載「本日、フラゲ日!」
Snow Man、King Gnu、YOASOBI、MISIA、ケツメイシ……12月1日リリースより新譜5作をレビュー
毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は12月1日リリースのSnow Man『Secret Touch』、King Gnu『BOY』、YOASOBI『THE BOOK 2』、MISIA『HELLO LOVE』、ケツメイシ『ケツノポリス12』の5作品をピックアップした。(編集部)
Snow Man『Secret Touch』表題曲については(※1)以下記事で掘り下げられているため、本稿では初回盤Aと通常盤に収録されているカップリング曲「僕の彼女になってよ。」に注目。この曲はSNS上で、間奏がマイケル・ジャクソン「Thriller」のオマージュなのではと噂されているナンバー。1980年代テイストを取り入れたトラックの上で、〈12時の1分前。〉などの細かな時間描写を通して、恋が刻一刻と進む様子に臨場感を与えているのが新しい。また、ポップなアッパーチューン「My Sweet Girl」(通常盤収録)に加えて、本作の聴きどころといえるのが、“王道クリスマスソング”こと「Christmas wishes」(初回盤B・通常盤収録)。〈White snowが舞い始めたら〉といった歌詞には、“Snow Man”の名前を含んでいるメタ的な点で、聴いていてドキドキとさせられるに違いない。(一条)
アリーナツアー『King Gnu Live Tour 2021 AW』を開催中のKing Gnuのニューシングル『BOY』の表題曲は、室内楽のような洗練された弦の響き、クラシカルなピアノからはじまる。ネオソウル、ファンク、オルタナR&Bの潮流を乗りこなしながら、独創的なハイブリッド感覚に裏打されたアンサンブル、予測不能にして驚くほどにポップなボーカルライン、刺激的な音の位相も楽しいサウンドメイクを含め、日本のポップスの基準を更新するような楽曲に仕上がっている。常識や照れを知る前の〈確かに未来へと今駆けてゆく〉姿を描いた歌詞も、既存のフォーマットを打ち破り続ける彼らのスタンスと強くリンク。アバンギャルドな大衆性と呼ぶべき、King Gnuの音楽世界をさらに拡大する楽曲だと思う。(森)
「怪物」(TVアニメ『BEASTARS』OPテーマ)、「もしも命が描けたら」 (舞台『もしも命が描けたら』テーマソング)、「三原色」(NTTドコモ「ahamo」CMソング)などを収めたYOASOBIの2nd EP『THE BOOK 2』。“小説を音楽にするユニット”として始まったYOASOBIは、CM、アニメ、舞台といったメディアと交差しながら、物語×歌詞×サウンドの化学反応をさらに活性化させ、幅広い層のリスナーの日常を彩るポップスを生み出し続けている。 特に強いインパクトを放っているのがリード曲の「ツバメ」(YOASOBI with ミドリーズ/NHK・子ども向けSDGs番組シリーズ『ひろがれ!いろとりどり」テーマソング)。和のテイストを滲ませる旋律、そして、多様性を認め合うこと、環境を守ることの大切さを簡素に綴ったリリックがもたらす切実な感動は、現代を生きる全ての人の感情を揺さぶるはずだ。(森)