「YONA YONA DANCE」「ヨワネハキ」……『TikTok流行語大賞』ノミネートからわかる流行と傾向
WurtSによる「分かってないよ」の歌詞も同じだ。大学での研究の一環としてTikTokに放流されたこの楽曲は、楽曲の内容に合わせてパートナーとの思い出を振り返る動画が多く、語りかけるような歌詞が動画の雰囲気にマッチする。曲名にかけて「最近まで知らなかったこと」などといったテーマで作られた“TikTok教室”の動画も多い。
楽曲の使われ方にはある程度の共通点を見出せる一方で、TikTokでヒットした楽曲そのもののジャンルは多岐に渡る。「分かってないよ」のようなオルタナ風のサウンドを持つものやback numberの名バラード「水平線」、音頭的なリズムがユニークな「ヨワネハキ」、ダンサブルな「YONA YONA DANCE」。短い動画が次々流れていくTikTokは、その分、流行りの変化も早い。ゆえに話題の曲は常にアップデートされ、様々なジャンルの音楽が同居しているのだ。
楽曲同士の共通点もある。TikTokで使用されることの多いサビの頭で、曲のテーマとなる歌詞が登場していることだ。P丸様。「シル・ヴ・プレジデント」では、サビに突入するなり〈だ・だ・だ・大統領になったらね〉とキャッチーな歌詞がTikTokでも話題になった。最初の1秒、あるいはそれ未満で次の動画にスワイプされかねないTikTokにぴったりな楽曲がTikTok内でも利用されることが多い。
多くのユーザーにとって日常のものとなったTikTok。動画に応用しやすいものが流行りやすい一方、動画の内容が多岐に渡るようになった今、流行る楽曲のジャンルも多様だ。TikTokの動画内容が進化するに伴って、楽曲の流行も変化し続けるだろう。