戸川純「好き好き大好き」はなぜTikTokでバズった? 海外ユーザーも惹きつける強烈なインパクト

 「娘がなぜか戸川純を口ずさんでいる」「子どもがiPadで『好き好き大好き』を流してるけど、なんで?」、というSNS上のつぶやきが目に付き始めたのが10月下旬。戸川純の「好き好き大好き」(1985年)を使ったTikTok動画が世界中でバズを生んでいることは、リアルなTikTokユーザー世代である若年層がいち早くキャッチアップしていた。

 TikTokで「好き好き大好き」を使用した動画を見てみると、北欧、東南アジア、EU圏の若い世代を中心に、ハロウィン時期と重なったこともあり、ホラーテイストの動画やNetflix最大のヒットドラマ『イカゲーム』の登場人物になりきったサイコな動画などが大多数を占めている。中には戸川純本人、または〈好き好き大好き〉というフレーズの意味を知っているのか、ロリータ風の格好や少女のようなコスプレで自己アピールする映像も見受けられる。だが、ほとんどの場合で歌詞の内容とは無関係なものが多い。

 海外での火付け役が一体どこの誰なのかは特定しにくいが、TikTokで「好き好き大好き」の頻繁に耳にするようになる以前の今年1月1日に、韓国のイラストレーター・VIVINOSが同曲を使い、“百合×ホラー”な動画をYouTubeにアップしており、現在までに845万回以上も再生されている。他にも、80年代の日本のシティポップが世界的に流行していることもあり、それらの楽曲を追うユーザーがVIVINOSの動画に辿り着く、またはその逆の経路を辿るリスナーもいるのではないか、という推察もできる。

⚠️ Suki Suki Daisuki♡

 なぜこれほどまでに同曲がTikTokユーザーに刺さったのだろうか。動画を見ていくと、ほとんどのユーザーがシアトリカルな歌唱に転じるサビの〈Hold me あばらが音を立てて折れる程〉の部分から、大サビでわかりやすい〈好き好き大好き〉の繰り返し、そして〈愛してるって言わなきゃ殺す〉までの8〜10秒を使用している。歌詞の意味がわからない場合、禍々しく大げさな〈Hold me〜〉とロリータ風歌唱の〈好き好き大好き〉のギャップが、そのまま人を驚かせる動画にぴったりハマるのだと想像できる。他にもイントロのホラーチックな旋律とサビをエディットするユーザーもおり、海外ではレトロなテイストで、人格が変わるほど展開する歌唱の異様さがTikTokでは使いやすく、その使い勝手の良さが似た傾向の動画の増殖に繋がったのだと考えられる。

 この影響で海外のバイラルチャートに同曲が頻出。ハロウィンを終えピークは超えたが、Spotifyではチェコ共和国、フィリピン、フィンランド、ポーランドなど各国のバイラルチャートTOP50で散見され、10月の月間リスナーは50万人に急増。「好き好き大好き」の再生数は890万回を超え、まだまだ伸びる勢いだ。

戸川純 – 好き好き大好き(2016 Remaster)



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