ポケモン25周年ソングがバイラル好調 Yaffle&Daichi Yamamoto&AAAMYYYが楽曲をドラマティックに彩る手腕
ダークな趣のある音色、スリリングなビートで幕を開ける「Reconnect」は、前半はDaichi Yamamotoの低音とネイティブな発音を活かした構成でクールに聴かせるが、サビで一転、AAAMYYYのシルキーボイスと流麗なメロディでふわりと舞い上がるような解放感を見せる。Daichi Yamamotoのラップパートと、AAAMYYYが歌うパートのバックトラックのコントラストがお見事。前者では音数の少なさが、彼に自由さを与え、そのフロウが独特のグルーヴを作り出している。対して後者は、バックトラックの音色も華やかで多彩な音色を使ってはいるが、音圧を上げずに、彼女の声質を優しく包むような構成になっている。Yaffleは自身の作品も含め、トラックの音色の引き出しが非常に多く、音圧もコントロールしながら楽曲を構築する人物だと思うが、その中でも特筆すべきは、音の足し引きが上手いことだ。どんな曲を手掛けようとも、トラックの中で息継ぎのような一瞬の空白を作ってくる。この空白は、時にフックになり、楽曲のドラマティックさを後押ししている。リズムはジャストなのに、楽曲の中に“溜め”を作ることができるのだ。藤井風など、ブラックミュージックがルーツのアーティストとも相性がいいのは、この“溜め”のセンスも理由のひとつに挙げられるだろう。
ちなみに『Pokémon 25:ザ・アルバム』に収録されている楽曲の中で、11月中旬現在、ポスト・マローン「Only Wanna Be With You (Pokémon 25 Version)」はSpotifyで再生数5200万回超え、ケイティ・ペリー「Electric (Pokémon 25 Version)」は3300万回を超している。“ポケモン”という世界が認めるアイコンの周年アルバムとはいえ、リリースから1カ月でこの再生数はすごい。つまり、世界中が注目しているアルバムともいえる。「Reconnect」も、これからもっと多くの世界中の人が聴くのだろう……こんな想像ができるのが、サブスクリプション音楽配信サービスならではの醍醐味のひとつである。