櫻坂46 守屋茜、渡辺梨加 卒業に寄せて 二人がグループで果たしてきた役割

モデル活動でグループに貢献した渡辺梨加

 茨城県出身の渡辺梨加は、グループ随一の無口なメンバーであった。番組で発言することは珍しく、たまに口を開いても声が小さすぎることから共演者を困らせることも多かった。しかし、その特徴的なキャラクターこそがこのグループのカラーを決定付けていたように思う。のちに発売するソロ写真集『饒舌な眼差し』(集英社)のタイトルが示すように、物静かでおとなしい性格を持ちながらも、目で訴える何かがある。「サイレントマジョリティー」と「世界には愛しかない」の初期シングル2作でフロントポジションを務めており、初期欅坂46の顔を担う重要なメンバーの一人であったことは間違いない。彼女の存在こそが欅坂46の路線を左右したと言っても過言ではないだろう。

 そんななか、彼女の活動の中心はモデル業へと移っていった。活動開始2年目でファッション誌『LARME』(株式会社LARME)のレギュラーモデルに起用、ほどなくしてファッション誌『Ray』(主婦の友社)の専属モデルにも決定し、モデルとしての活動でグループに貢献。先駆けてソロ写真集を発売したのも彼女であり、同グループのモデル担当としてメンバーを牽引した。歌って踊れて喋れるような、何でもできるタイプが重宝される現代。アイドルの仕事が多角化する時代の流れのなかで彼女はある意味“特化型”を貫いたメンバーであった。

 そんな渡辺も、仲の良いメンバーとのロケでは普段見せないようなはしゃぐ一面を見せたり、また非公認の自主ユニット「ほとけーず」を結成するなど、独特のおっとりとした雰囲気で人気を集めていく。リリースを重ねてダンスの難易度が上がっていくに従って1列目→2列目→3列目と後列を担当することが多くなっていったが、グループ改名後は最新シングル曲「流れ弾」にて晴れて2列目に復帰。特にここ最近はパフォーマンスでの成長が目立っていた。

 今回の発表があった10月22日、元メンバーで2人と同期の佐藤詩織がちょうどABEMAのニュース番組『ABEMAヒルズ』に生出演し、自身の専門であるアート業界について的確なコメントを残していた。佐藤は放送中に2人の卒業について聞かれると「同じ1期生として頑張ってきたメンバーですので、次に歩んでいく道も応援したいなと思います」と返答。すでに個人として新しいステージに踏み出している佐藤が、生番組で同期の卒業をリアルタイムで祝うという珍しいシーンが生まれていた。そんな偶然も重なって、1期生の絆を感じることができた今回の同時卒業発表。次のステップへ進む2人の今後にも要注目だ。

※1:https://sakurazaka46.com/s/s46/diary/detail/41395

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