さだまさし、カバーアルバムで伝えるフォークソングの普遍性 時代を超えて今に響くメッセージの本質

さだまさしが伝えるフォークソングの普遍性

 さらに特筆すべきは、昭和のフォークの名曲が、2021年においても強いインパクトを放っていること。〈今日ですべてが終るさ/今日ですべてが変る/今日ですべてがむくわれる/今日ですべてが始まるさ〉(「春夏秋冬」)、〈テレビでは我が国の将来の問題を/誰かが深刻な顔をしてしゃべってる/だけども問題は今日の雨 傘がない〉(「傘がない」)など、これらのフレーズはそのまま、コロナ禍になり先が見通せない現代を生きる人たちの心に強く作用するはず。さだが2021年に昭和の名曲にスポットを当てた理由はおそらく、「時代の転換期である現在においても、70年代の楽曲は間違いなく多くの人の心を捉える」という確信があったからではないか。

 原曲のイメージをまったく損なうことなく、新たな息吹を吹き込むリアレンジと歌唱も素晴らしい。69才になったさだが、青春期に影響を受けた楽曲を改めて歌うことで、そこに込められたメッセージの本質を際立たせる。これこそが本作の魅力だろう。

 「僕にまかせてください」(クラフト/1975年)も聴きどころ。クラフトは4人組フォークグループだが、作詞・作曲を手がけているのは当時“グレープ”のメンバーとして活動していた、さだまさし自身。叙情的な美しさをたたえたメロディ、〈あなたの大事な人を僕に/まかせてください〉という慈しみと優しさに溢れた歌詞は、正真正銘の“さだ節”である。45年以上の時を経て実現したセルフカバーは、まさに必聴だ。

 「白い一日」(井上陽水/1973年)、「北山杉」(うめまつり/1974年)といった知る人ぞ知る名曲を再発見でできるのも本作の特徴だ。ちなみに本作のなかで最も“新しい”曲は、「眠れぬ夜」(オフコース/1975年)。すでにプロとして活躍していたさだは当時、この名曲に対してどんな気持ちを抱いていたのか。そして、再びこの曲と向き合ったときに、どんな感慨を覚えたのか……などと想像を膨らませるのも一興だろう。

※1:https://realsound.jp/2021/09/post-849356.html

■リリース情報
New Album『アオハル 49.69』
2021年10月27日(水)リリース
・通常盤(CD)¥3,850(税込)
・初回生産限定盤(通常盤CD+カラオケCD/紙ジャケ仕様)¥4,950税込
・数量限定生産アナログ盤(2LP)¥7,590(税込)

<収録曲(全16曲収録)>
01. 空に星があるように
02. 旅人よ
03. 誰もいない海
04. 悲しくてやりきれない
05. 春夏秋冬
06. 旅の宿
07. 白い一日
08. 神田川
09. 北山杉
10. 僕にまかせてください
11. 東京
12. 学生街の喫茶店
13. なごり雪
14. 眠れぬ夜
15. 傘がない
16. 翼をください

<初回生産限定盤収録 DISC-2>
*上記16曲のカラオケCDアナログ
*上記16曲を4曲ずつAB面に収録した2枚組LP。重量盤。
*ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて10月27日より配信開始。

さだまさし Official Site

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