Perfume、音楽以外にも広がるマルチな活動 自然体で表情豊かなキャラクターに集まる注目

どこかフィクショナルな存在感と親しみやすい人柄

 なぜ、こうしたPerfumeの本音や自然体の様子に注目が集まるのか。それはやはり、これまで築き上げてきたグループと作品の世界観がしっかりとハマっていたからだろう。

 雑誌『Quick Japan vol.74』(2007年/太田出版)のインタビューで、のっちはメジャーデビュー時のMV撮影の際、関係者から「「笑わないで」って言われたんですよ」と振り返っている。また雑誌『音楽と人 2020年10月号』(2020年/音楽と人)のインタビューでも、のっちは「Perfumeって、そんなに日常を見せてこなかったと思うんですよ(中略)一般的には生活感をあまり見せない」と述べている。

 たしかに、一般的にはPerfumeはどこかフィクショナルな存在として知られているのではないか。2017年『NHK紅白歌合戦』で「TOKYO GIRL」を披露した時には、生放送でありながら非現実的な渋谷の街を合成した映像を用い、強烈な照明演出を施した上、ドローンによる撮影も駆使して視聴者の度肝を抜いた。Perfumeに馴染みがない音楽ファンはそういった映像を観て、人間らしさとはかけ離れたバーチャルなアーティストとして認知しているように思える。

[Official Music Video] Perfume 「TOKYO GIRL」

 一方で、書籍『Fan Service[TV Bros.]』(2015年/東京ニュース通信社)のなかで近藤春菜は、Perfumeの音楽性を絡めながら「テクノって、機械的っていうか感情をあまり出さない音楽じゃないですか?だけどPerfumeさんの3人が歌うと、すっごい感情があるというか、あったかい感じが伝わってきて、説得力がすごいあるんですよ」と人間味に言及。3人の素の部分が楽曲をいきいきとさせていると語った。

 『ザ・マスクド・シンガー』や『恋愛ドラマな恋がしたい』などを観ていると、彼女たちは実に朗らかで親しみやすい性格の持ち主であることが分かる。一般層にとっては音楽、作品、ダンスなど作品のハイグレードさの方が先行していたからこそ今、その人柄がより新鮮に受け止められている。

 アーティストという軸はぶらさず、情報番組、恋愛番組、バラエティ、ナレーションなどタレントとしても幅を広げつつあるPerfume。今後、そのユニークな素顔を見られる機会がさらに増えていきそうだ。

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