『ユイカ』「好きだから。」バイラルチャートでも存在感 リスナーの感情と重なる“新たな青春ラブソング”
『ユイカ』の魅力は、繊細な歌声と等身大でリアルな歌詞にあり、特に「好きだから。」には、それらが凝縮されている。ギターの弾き語りから始まる歌い出しは、リラックスした歌声でそっと気持ちを吐露するような印象を与え、サビでは、繊細ながらも強い意志を感じる力強い歌声が胸をぎゅっと締め付ける。歌詞に目を向けると、楽曲の物語にリスナー自身が自己投影してしまうようなリアルな詩世界が展開されている。「好きだから。」では「授業」や「部活」「放課後」など、学生生活をイメージさせるワードが散りばめられていて、楽曲の舞台が明確に提示されているため、歌詞から立ち上がる情景が想像しやすく、自分自身に引き寄せて楽曲の世界に没入しやすい。サビ部分での〈振り向いてほしくて、/意識してほしくて、/香水をつけて/1人でむせて。〉〈振り向いてほしくて、/意識してほしくて、/ワックスをつけて/ベトベトになっちゃって。〉のようなエピソードは、学生時代に多くの人が似たような経験をしたことがあるのではないだろうか。
ほかにも「LINE」や(おそらくInstagramの)「ストーリー」のような身近なアイテムが登場することで、楽曲の世界と現実の世界が地続きであるように感じ、より感情移入を誘い楽曲の詩世界に共感してしまう。「好きだから。」は、夏にぴったりな青春ラブソングとして、まだまだ多くの人々の共感を得ることは間違いない。次週のバイラルチャート首位獲得を期待したい。