『閃光のハサウェイ』劇中歌がバイラルチャート上位に ガンダムシリーズ最新作のヒット支えた“映像とシンクロする歌声”

参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(7月8日公開:7月1日~7月7日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:Måneskin「Beggin’」
2位:Hiroyuki Sawano feat. Benjamin「TRACER」
3位:マハラージャン「セーラ☆ムン太郎」
4位:Hiroyuki Sawano feat. mpi & Laco & Benjamin「Möbius」
5位:Måneskin「I WANNA BE YOUR SLAVE」
6位:夜のひと笑い「ミライチズ」
7位:vaultboy「everything sucks」
8位:ジェニーハイ「華奢なリップ feat. ちゃんみな」
9位:WILYWNKA & Brasstracks「Our Style」
10位:Trinidad Cardona「Dinero」

 今週は2位「TRACER」と4位「Möbius」をピックアップしたい。両曲は、3度の公開延期を経て、6月11日に全国公開されたアニメ映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の劇中歌だ。同映画は初日の興行収入が1億9千万円を超えるスタートを切り、今も大ヒットを続けている。

 日本に住んでいて『機動戦士ガンダム』を知らないという人は、ほぼいないのではなかろうか。実際に観たことはなくても、その存在を知っている人がほとんど。1979年にオリジナルのテレビアニメとしてスタートしたガンダムシリーズは、2019年に40周年を迎えた人気コンテンツである。テレビや映画などのアニメ作品に加え、「ガンプラ」の名で知られるプラモデルや、ゲーム、関連グッズなど、多彩な展開を見せ、今や年間約800億円の売上高を持つ巨大な市場に成長。ファン層も、世界各国に広がりを見せている。最近では、実物大である全長18メートルの動くガンダムが展示されている期間限定のイベント『GUNDAM FACTORY YOKOHAMA』が話題をさらった(2022年3月31日まで)。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ オリジナル・サウンドトラック』

 アニメ映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、富野由悠季の小説が原作である。2021年6月時点で累計発行部数130万部を記録しているこの作品のアニメ化は、ガンダムファンを多いに喜ばせた。その理由として挙げられるのは、ざっくりにはなるが、以下の3つだろう。1つ目は、1988年に劇場公開され大ヒットし、ガンダムシリーズの代名詞のひとつとも言われているアニメ映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のその後を描いた作品であること。2つ目は小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のテーマが、歪んだテロリズムや地球環境問題など、映像化するにはシビアと言われるものを扱っていたことや、結果的に道徳に反することになる衝撃的な結末であること。そして3つ目は、モビルスーツの形態が複雑でアニメでは表現しきれないのではないかと言われていたこと。そのすべてをクリアしてのアニメ化は、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』への期待を募らすのには、十分すぎる要素だった。

 今週のバイラルチャートは、この期待が現れた結果ともいえる。共有・共感をシェアするバイラルチャートにおいて、ガンダムのファン層が幅広く、シリーズスタートの頃には生まれていなかった若年層にまで広がっていることも想像できる。

【大ヒット御礼】機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ|ロングPV

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