『マツコの知らない世界』で“ガールズバンド”特集 SHOW-YA、チャットモンチー、BAND-MAID…ドメスティックな進化の歴史

 7月6日放送の『マツコの知らない世界』(TBS系)は「ガールズバンドの世界」。80年代バンドブーム期の女性バンドとして一世を風靡したSHOW-YAのボーカル寺田恵子と、海外までその実力と名を轟かせるギタリストSAKI(Mary’s Blood/NEMOPHILA/AMAHIRU)を迎え、ガールズバンドシーンの創世記から新時代に至るまで、新旧の注目バンドをその時代背景とともに解説。バラエティ番組とは思えぬほどの情報量、時間の許す限り数多くのバンドの紹介と丁寧な解説は、多くの音楽ファンも納得の内容だった。とくにバンドブームを起点として語られることが多い中で、日本のガールズパンドの祖として、1977年にデビューしたガールズ(GIRLS)を取り上げたことは快挙と言っていいのではないだろうか。そして、メインストリームに偏らず、少年ナイフやロリータ18号、さらには昨今の注目バンドとして、東京初期衝動といった今どきのバンドにまで触れていたことも、今回の特集に対する気合いが見えた部分だった。

SHOW-YA『Outerlimits +2』

 番組の主旨としては「女性だけで組まれ、“ガールズバンド”として打ち出しているバンドに絞り込み〜」とあった。そう、ガールズバンドを打ち出していない女性バンドもいるのである。

 そもそも“ガールズバンド”という呼称は2000年代以降に広く定着したもので、アイドルとの親和性も高い。番組内ではモーニング娘。を軸としたアイドルブームの延長線上としてWhiteberryやZONEが語られていたが、現に2001年にデビューしたZONEはバンドとアイドルを掛け合わせた“バンドル(BANDOL)”を掲げ、シーンに登場した。元々ダンスグループとして結成された彼女たちは、楽器は持っているが実際に演奏はしない、いわゆる“当て振り”を主体としたグループだった。それは、アイドル視されることに抗ってきたそれまでの女性バンドの意向を逆手に取った戦略ともいえるだろう。

secret base ~君がくれたもの~ ZONE

 現在のガールズバンドの代表格であるSCANDALもアニメアイコンと制服を武器にデビュー、二次元的なアイドルアイコンとしての要素が強かった。SILENT SIRENは日本最大のアイドルフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL』に出演している。音楽面を見ても、Whiteberry 「夏祭り(JITTERIN’JINNカバー)」(2000年)、ZONE「secret base 〜君がくれたもの〜」(2001年)、SILENT SIREN「八月の夜」(2016年)といったガールズバンドの楽曲は、現在に至るまでバンドのみならず、多くのアイドルライブで歌われており、ガールズバンドとアイドルとの親和性は非常に高い。

【Silent Siren】「八月の夜」MUSIC VIDEO full ver.【サイレントサイレン】

 ZONEは次第に演奏をするようになり、“バンドル”は定着しなかったが、代わりにガールズバンドという言葉がそうしたアイドル性をも武器とすることや、「アイドルのように可愛い女の子バンド」という意味合いで使用されるようになった。それゆえに、現在においてもガールズバンドと呼ばれることを由としない女性バンドがいることも事実なのである。

チャットモンチー 『「シャングリラ」Music Video』

 もうひとつ、ガールズバンドの大きな潮流を作ったのが、2005年にメジャーデビューした、チャットモンチーである。普通の女の子が豪快に掻き鳴らすギターロック。90年代前半のグランジから後半のブリットポップブームを経て、下北系などと呼ばれたシーンから生まれ、その代表で“スニーカー系”と言われたSUPERCARのいしわたり淳治のプロデュースによって、新たなガールズロックスタイルが昇華された。チャットモンチーの、弾き語りに近くバンドアンサンブルを主体とした最低限のアレンジによって生み出されるシンプルな形態は、海外のガレージロックとは異なる日本語ガールズロックとして広く定着したのだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる