奥田民生、サンボマスター、石崎ひゅーいが集結 熱気や余韻も届けたサッポロビールによるオンライン夏フェスレポ

サッポロビールによるオンライン夏フェスレポ

 7月7日、サッポロビールによるオンライン夏フェス『the PERFECT LIVE 2021 -丸くなるな、星になれ。- by サッポロ生ビール黒ラベル』が開催された。同ライブは夏の風物詩である花火大会や音楽フェス等イベントの中止・縮小などを受け、“コロナ禍で自由に満喫できない夏を、少しでも楽しんでいただきたい”という思いの下、YouTubeから無料で配信(奇しくも、某大型フェスの中止発表があったこの日にはタイムリーなテーマだ)。奥田民生、サンボマスター、石崎ひゅーいのライブから、終演後のデジタル打ち上げ花火までを届けることによって、熱気や余韻も一緒に分かち合える新感覚の夏フェスを目指した。

 なお、七夕の夜ということで、ライブの合間のトークでは視聴者から募集した“今年の夏にやりたいこと”を紹介。出演者もそれぞれの願いを発表した。その内容は以下の通り。

・奥田民生さんのエレキギターが1本ほしい(笑)(サンボマスター・山口隆)
・お客さんが会場にいる状態でこの3組でライブができたら(サンボマスター・近藤洋一)
・みんなとビールで乾杯できる日常を取り戻したい(サンボマスター・木内泰史)
・いろいろな食べ物を燻製できますように(ひゅーい)
・寝違えない身体をくれ(民生)

 それぞれの個性が滲み出ている上記コメントと同様、三者三様のライブが繰り広げられた。

 トップバッターはサンボマスター。〈もう苦しまなくていいんだよ〉と伝える「忘れないで 忘れないで」を何よりも先に届ける選曲が温かい。そして「俺たちが唄いたいことは、悲しい言葉や分断とか暴力じゃなくて、ヒューマニティ!」と続くは、6月にリリースされたばかりの最新曲「ヒューマニティ!」。「七夕の日に踊りまくれるやつかかってこい!」「もっと踊れる人! カモンカモンカモン!」と勢いよく煽りまくっていたのは「はじまっていく たかまっていく」だ。ライブハウスを思い出させるような熱いバンドサウンドを鳴らし、ライブバンドとしての王道を担いつつ、レゲエのエッセンスやヒップホップ的な要素も取り入れたビートとともに、新鮮な表情を覗かせる。その匙加減が見事だ。ラストの「青春狂騒曲」にて、「毎日いろいろなことがあるけど、また笑って会いましょうね!」と山口。“愛してる”と全身で叫ぶ彼らの音楽は、暗い海を照らす灯台のように、今日もこの世界を照らしてくれている。

 石崎ひゅーいはバンドセットでの登場。1曲目は、この日リリースされたばかりのサッポロ生ビール黒ラベル七夕企画タイアップソング「ブラックスター」だ。後のMCによると、「ブラックスター」は、サッポロビールのキャッチコピー“丸くなるな、星になれ。”から受けたインスピレーションと、デヴィッド・ボウイへの憧れを重ね合わせることで生みだした曲とのこと。孤高を求める歌がダンサブルなサウンドに乗って羽ばたいていく。菅田将暉に提供した「さよならエレジー」のセルフカバーは、テンポを上げることで疾走感を際立たせたアレンジで、石崎もアコギを掻き鳴らす。MC明けの後半では一転、バラードを続けて演奏した。まさしく菖蒲色の照明の中で「アヤメ」が歌われると、ラストを飾ったのは「ピリオド」。2018年にリリースされた「ピリオド」は一つの別れを描いた曲だが、〈ああ 僕はまだ繋いだ手の ぬくもりも優しさも忘れられずに〉〈今、春の嵐の中を/一人で歩く強さがほしいよ〉といった言葉は、コロナ禍を生きる私たちの心情ともリンクする。石崎のスキャットとバンドが鳴らす旋律が絡み合うラストシーンは美しいものだった。

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