ドラマ『ハコヅメ』OP曲に抜擢! 相対性理論カバーでTikTok再生回数一億超えのマルチクリエイター・ロイ-RöE-とは?

『ハコヅメ』OP曲抜擢のロイ-RöE-とは?

 ドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』オープニングテーマ(「VIOLATION*」)や映画『羊とオオカミの恋と殺人』主題歌(「癒えないキスをして*」)に抜擢されてきたワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル<unBORDE>のシンガーソングライター・ロイ-RöE-。そんな彼女が、7月7日からスタートした永野芽郁と戸田恵梨香W主演の新ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)のオープニングテーマを「YY」で担当する。

ロイ-RöE-「YY」ティザー映像 日本テレビ系ドラマ「ハコヅメ 〜たたかう!交番女子〜」オープニングテーマ

 アニメチックなかわいらしさと芯の強い伸びやかさの両方を兼ね備えた歌声、印象的なメロディと歌詞を紡ぎ出すロイが、2020年から2021年にかけてTikTokで新たなバズを起こしたのは記憶に新しい。作詞作曲をこなすシンガーソングライターでありながら、イラストをはじめとするセルフプロデュース力で、若者世代を中心に注目を集める彼女の魅力とは。

 ロイがTikTok上で、61日間連続でカバー曲をアップするという、『61Filter』の企画を発案したのは、緊急事態宣言が発令された2020年のこと。その中で、ロイは「チャイナアドバイス」をカバー。「チャイナアドバイス」は、ボーカルのやくしまるえつこの、あどけなくもどこか無機質な歌声が特徴のバンド、相対性理論が2010年に発表したアルバム『シンクロニシティーン』に収録されている楽曲。この曲に、ロイはおもちゃ箱をぶちまけたようなにぎやかなアレンジを施して歌い上げた。これを、「なえなの」や「ねお」など、Z世代のインフルエンサーを含む多くのTikTokユーザーが続々使用して投稿し、投稿数5万超、楽曲使用再生回数1億超え、Spotifyの日本バイラルチャート入りも記録するなど、大バズりとなったのだ。

ロイ-RöE- 「チャイナアドバイス (blackboard version)」

 『61Filter』の中でカバーされているのは、「ペッパー警部」、「フライディ・チャイナタウン」、「タッチ」など、80~90年代の歌謡曲が目立つ。だが、意識的に時代感のある曲を選んだわけではなく、サブスクなどをあれこれ聴いている中で気になったものの多くがその世代の懐メロだったのだという。ロイ自身も、投稿した後に「懐かしい」と言われて初めて懐メロであることに気づいたり、自分よりさらに若い世代のリスナーから「初めて聴きました」という感想をもらったりするそう。いつの時代の曲であるかは無関係に、リスナーが良いと思ったものが自然に受け入れられ、再評価される流れは、サブスク時代ならではの動きと言えるが、奇しくも彼女の活動が当時と現在の音楽の架け橋となった。

 音楽だけでなく、イラスト、アニメーション、編集まで自らの手で行っているのもロイの大きな強みだ。カバー楽曲に添えられたレトロテイストな女の子のイラストはロイの手によるもの。さらに、イラストに留まらず、こちらもTikTokで楽曲使用数3万回超を記録した「ラムのラブソング」のカバーでは、「羊と羊飼いの恋」という物語仕立てのアニメーションを制作。

[ロイ-RöE-] ラムのラブソング [アレンジカバー]

 「ひみつのアッコちゃん」のカバーのMVでは、ロイズ歌劇団に所属する5人の女の子がアッコちゃん役を奪い合うという内容の自ら企画・脚本を手掛けている。

[アレンジカバー] ひみつのアッコちゃん covered by ロイ-RöE-

 TikTokを筆頭に、誰もが簡単に楽曲カバーをし、それを公開できるような環境だからこそ、どのようにオリジナリティを出すかが突出するための課題となる。その中で、原曲にとらわれすぎない大胆なアレンジとイラストレーションの組み合わせで、ロイは次々楽曲を生まれ変わらせてみせた。

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