SKY-HI、“問答無用で楽しいを作りたい”を体現 ちゃんみな&Novel Core駆けつけた『遊戯三昧』東京公演を観て

SKY-HI『遊戯三昧』東京公演レポート

 遊戯三昧(ゆげざんまい)=物事にふけって夢中になること、自由気ままに遊びほうけること、何ものにも捉われることなく自由であること。ライブタイトルの意味を知り、思わず深く納得してしまった。それは、6月27日にZepp DiverCityにて開催されたSKY-HI『遊戯三昧』東京公演が、言葉の意味をそのまま体現していたからだ。“問答無用で楽しいを作りたい”をコンセプトに掲げ、呂布カルマやTHE ORAL CIGARETTESと作りあげてきたライブツアーは、ちゃんみなを迎えた東京公演でフィニッシュを迎えた。

 ちゃんみなのターンからライブはスタート。男女8名のダンサーを引き連れてステージに現れた彼女は、気高き女帝の風格をすでに漂わせる。持ち前のスキルを惜しみなく発揮し、冒頭の「Angel」から語りかけ、えぐり、煌めき、魅せていく。堂々とした佇まいは、圧倒的ってのはこういうものだとビビットに物語っていた。「みなさん元気ですか。はじめまして、ちゃんみなです」とにこやかに声をかけると、〈I‘m a princess〉とエッジに刻みこむ「Princess」を投下。歌詞に落としこまれた言葉ひとつひとつが、ショットガンのごとくオーディエンスの感性を射抜く。「Never Grow Up」はセンチメンタルたっぷりに歌い上げ、観客を虜にした。

ちゃんみな

 MCでちゃんみなは、「姉妹のような兄弟のような、性別を感じさせない友人」とSKY-HIについて語った。くすぐったそうな表情が、普段から尊重しあっているふたりの関係性を想起させる。「SKY-HIの「Name Tag」が好きなんです」と告白すると、「誰がHIP HOPじゃねえって?」と声を荒げ「I‘m a Pop」を導いた。韓国語、英語、日本語と流暢に使いこなし惹きこんでいく様は、彼女がオリジナルであることを強く訴える。それどころか、女性らしさを活かした柔らかなダンスを展開し、ジェンダーまでまるっと飲みこみ自分の表現として昇華。スキルも性別もビジュアルも全て込みで、今のちゃんみななのだとパフォーマンスが誇示していた。その後も「Picky」「CHOCOLATE」「ボイスメモ NO.5」と、イメージを乗りこなしながらフロアを魅了。「Call」でしっかりと歌を聴かせると、シンガーとしての魅力さえも爆発させた。

 「あなたが美しいということを忘れないで」と告げ、繋がれたのは「PAIN IS BEAUTY」だ。ちゃんみなの愛情深く凛とした美しさの根源は、ここに詰まっているのではないかと思うほど、20歳を迎えるときにそれまでの経験をもとに作ったナンバーは、ひたすらにリアル。言葉ひとつひとつが並々ならぬ説得力を持ち、ズシズシと乗りかかってきた。

 「Like This」でラストスパートをかけると、女性ダンサーらと骨太ビートな「美人」を乗りこなす。静と動のモーションは、怒りと失笑の狭間にざわめく感情を描くよう。叫ぶように〈fxxking beautiful〉と刻み、ラストソングの「ダリア」へ。DJが去ったステージを一人踏みしめ想いを尽くす姿は、恐ろしいほどにエモーショナルだった。2分43秒という限られた時間でありながら、長編のミュージカルを観劇した後のような充足感。歌やダンスだけにとどまらず、ブレスやオーラなど彼女から発せられるもの全てが表現として機能する。深々と頭を下げ「ありがとう」と告げると、ちゃんみなは舞台を去っていった。

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 15分の転換を挟み、ステージはSKY-HIのターンへと突入。もはやお馴染みとなったギター、DJ、ドラムのスクワッドスタイルで、鮮やかなステージを魅せていった。「To The First」のジングルを背に現れたSKY-HIは、「何様 THE FIRST TAKE Ver.」で一気に空気を掌握。ドラムのビートにリリックを重ね、抜群のパワーで惹きこんでいく。勢いを加速させるかのように「Sky’s The Limit」「Walking On Water」と連投し、〈空の上や海の下は手が届かないと誰が決めた?〉と偏見や常識を堂々と一蹴した。

 かつてはむき出しの刃のような鋭さを持っていた彼だが、この日のSKY-HIはどこかが以前と違っていた。逆刃刀のように、即座に殺生へと走らぬ鋭さというのだろうか。焦りや怒り、諦念に由来しない、確信や安心を土台にする強さを以前にも増して感じさせたのである。

 この日ならではのアレンジで「Doppelgänger」を聴かせると、「illusions」は「POWER」(Kanye West)と「F-3」は「Ch-Check It Out」(Beastie Boys)とマッシュアップ。各ミュージシャンへのリスペクトを忘れることなく、誰よりもSKY-HI自身が音楽を感じ、表し、遊ぶ。音源を流しに来ているわけでも、オンラインライブをしに来ているわけでもない。問答無用に楽しいと感じられる“ライブ”をしに来ているのだと、全身全霊のパフォーマンスが物語っていた。

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