登坂広臣、ØMIとしての表現に貫かれた信念 光と影の二面性から浮かぶ“生の肯定”
三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE(以下、三代目JSB)のボーカル 登坂広臣のソロ名義 ØMIによるEP『ANSWER… SHADOW』が5月12日にリリースされた。
今作は、昨年リリースされたアルバム『Who Are You?』のテーマであった“自分は何者なのか”という問いに対する解として、心の内に同居する“光”と“影”、特に“影”の部分にフォーカスを当てたもの。過去の記事では表題曲「ANSWER… SHADOW」と「Can You See The Light」の先行配信シングル2曲を取り上げ、このEPが光と影の表現を中心とした表裏一体の二面性を描こうとする作品であり、さらにはそれが三代目JSBおよびLDHが提示してきた“光”的表現に相反する“影”として成立し得るということを、おぼろげながら読み取った(※1)。
そこから4月の先行シングル第3弾「Colorblind」の解禁を経て、遂にリリースを迎えたEP『ANSWER… SHADOW』を改めて鑑賞した中で見えてきたものーーそれは、反転を繰り返しながら同居する“光”と“影”の関係性、さらにそこから生み出された“色”の表象によって示される“生そのものの肯定”であった。
とはいえ、まずは先行シングルとして最後に発された楽曲であり、EPの中でも極めて重要な位置にある「Colorblind」に注目しよう。「ANSWER… SHADOW」と同様に幻想的な音像でありつつ、弦楽器のオリエンタルな音色に加えてラップパートが挿入されるなど、ヒップホップのテイストが強調されており、心地良いリズムが感じられる。
この「Colorblind」は、地続きの世界を描いている「ANSWER… SHADOW」と「Can You See The Light」の“間の物語”であるという。人の内面にある“影”=光の当たらない深層の部分へと潜り込む「ANSWER~」の世界観に対し、「Colorblind」では〈君という光〉によって見出される“色”の概念がキーとなる。そこから「〈君〉=他者/受け手」の存在と自身との関係性を徹底して描き出すことで、「Can You~」へと続く最後のピースがはめられる。
冒頭の〈手をかざしている プリズムが隙間から/心に照らす色は/目を逸らせるほど見にくい世界が/Faded faded〉と歌う詞は、タイトルでありキーフレーズである「Colorblind」の意味を端的に表す。〈プリズム〉の光とは自身がアーティストとして浴びせられる“脚光”に当たるものだろう。眩しすぎるその光彩は、目に映る景色の本来の色味を褪せさせ、サビの〈Staining black & white/この世界はGray〉に至ると二面性の乖離により全てが虚に転じてしまう。これは「ANSWER~」でいうところの〈Heartless〉にも通じる箇所と考えられるが、そこで現れる〈君という光〉が重なって反射することにより「Colorblind」の世界は色を取り戻す。この“影”から“光”への反転の過程を経ることで、「Can You~」の中で歌われる“生”への衝動は、より強固な信念を感じられるものとなるのだ。